
2025年3月に発生した韓国空軍による民家への誤爆事故以降、韓国軍で空軍・海軍・陸軍を問わず航空関連の事故が相次いでいる。国防相不在の状況下で、1カ月に1回以上のペースで重大事故が続いており、軍内部では深刻な危機感が広がっている。
最新の事故は6月11日(韓国時間)、米アラスカ州のアイルソン空軍基地で起きた。韓国空軍のKF-16戦闘機1機が訓練のための離陸中に機体の一部が損傷し、火災が発生。搭乗していた2人の操縦士は緊急脱出し、軽度の火傷や熱傷を負った。
このKF-16は米太平洋空軍が主導する多国籍空中戦闘訓練「レッドフラッグ・アラスカ」に参加していた。韓国空軍の戦闘機が海外訓練中に深刻な損傷を受けたのは、これが初めてとされる。事故原因は特定されていないが、軍内外では「構造的な問題が潜んでいるのではないか」との懸念が高まっている。
過去数カ月を振り返ると、以下のような事故が続いている。
▽3月6日:空軍の誤爆事故=京畿道抱川市で実施された韓米合同訓練中、KF-16戦闘機2機が民家付近にMK-82空対地爆弾8発を誤って投下。死者こそ出なかったが、民間人40人と軍人26人の計66人が負傷し、203棟の建物と16台の車両が損傷するなど、被害件数は計219件にのぼった。原因は操縦士による座標入力のミスおよび確認不足とされ、「軍紀の緩み」が問題視された。
▽3月17日:陸軍の無人機衝突事故=陸軍の航空部隊で、着陸を試みていた無人機「ヘロン」が停機中のヘリコプター「スリオン」と衝突。火災により両機体が全焼し、被害額は200億ウォンを超えた。陸軍は強風による外的要因と説明している。
▽4月18日:空軍の兵装誤投下事故=空軍のKA-1空中統制攻撃機が夜間訓練中に機関銃と燃料タンクを誤って地上に落とした。民間被害はなかったが、操縦士がヒーターの風量調整を試みた際、誤って別のボタンを押したことが原因と判明した。
▽5月29日:海軍の哨戒機墜落事故=慶尚北道浦項市で、海軍の対潜哨戒機P-3が訓練中に墜落。搭乗していた乗員4人全員が殉職した。P-3哨戒機の墜落事故は、1995年の導入以来初めて。
これら一連の事故は、国防相の空席が続いている時期と重なっており、軍指導部の統制力や事故防止体制に疑問の声が上がっている。空軍、陸軍、海軍と順に事故が発生している現状に対し、軍当局は「異例の状況」として内部調査を進めている。
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