2025 年 10月 1日 (水)
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韓国軍の「北朝鮮監視」対砲兵探知レーダー事業で軍事機密流出…現役軍人と業者関与

天鏡II=韓国防衛事業庁提供

北朝鮮の長射程砲に対抗する「目」とされる韓国軍の対砲兵探知レーダーII(天鏡II、TPQ-74K)に関する軍事機密が民間業者に流出した疑いが浮上した。

韓国の国軍防諜司令部は機密漏洩の情報を入手し、捜査を進めた結果、現役軍人や業者関係者を含む5人が関与していることを確認した。

防諜司令部はこのうち民間人について、軍事機密保護法違反容疑で「起訴相当」として水原地検に送致した。地検は補完捜査を経て起訴の可否を判断する。現役軍人については防諜司令部が引き続き調べている。

現役軍人が「3級秘密」にあたる資料を頻繁に閲覧申請し、入手した情報を業者に渡す形で流出したとされる。

対砲兵探知レーダーIIは2011年から2017年にかけて開発され、2018年から戦力化が始まり、2024年3月には全軍団と西北島嶼に配備が完了した。5トントラック搭載型で機動展開が容易なうえ、能動位相配列(AESA)レーダー技術を用いて1000基以上の送受信モジュールを独立制御する。

同システムは北朝鮮の170ミリ自走砲や240ミリ放射砲などの砲弾を発射後10秒以内に探知し、弾道を逆算して発射地点を割り出す。結果は作戦統制所や砲兵部隊にリアルタイムで伝達され、信頼性や耐久性も高いことから海外からの関心も集めている。

韓国軍当局は、このレーダーに組み込まれた国家の重要防衛技術の体系情報や性能・整備資料、運用パラメータなどが外部に渡れば、敵の妨害・回避能力を高め、自軍の戦力低下を招く恐れがあると判断している。このため防諜司令部は捜査初期から機密の等級や流出範囲、再流通の有無に重点を置いて確認してきた。

対砲兵探知レーダーIIは現在、検査・整備を成果に基づき実施する軍需支援(PBL)段階に入り、韓国の大手防衛産業企業LIGネクスワンは2025年に防衛事業庁と832億ウォン規模の契約を結び、2030年まで後続支援を担う。軍は今回の機密流出疑惑がこの後続支援業務と関連している可能性も排除していない。

(c)news1

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