
韓国軍で主要な作戦司令官ポストの空席が相次ぎ、有事の際の指揮・意思決定体制に懸念が広がっている。北朝鮮情勢や中東情勢が不安定さを増す中、「誰が最終的に決断するのか」という問題が改めて浮き彫りになっている。
3月に実施された米韓合同軍事演習「フリーダムシールド(FS)」は、地上作戦司令官が不在のまま実施された初のケースとなった。非常戒厳を巡る疑惑を受け、当時の司令官が職務から外されたためだ。
地上作戦司令官は首都圏と江原道を含む前線地域を管轄し、約24万5000人に及ぶ兵力を指揮する。これは陸軍全体の約75%に相当し、その影響力は極めて大きい。さらに戦時作戦統制権が韓国側に移管された場合、韓米連合地上軍の司令官も兼ねる重要なポストとされる。
こうした中、副司令官が職務を代行しているが、軍内部では限界を指摘する声が強い。関係者は「業務自体は回るが、新たな状況に対応するための最終的な決断を下せる存在がいないことが問題だ」と語る。正式な権限を持たない代行体制では、前例踏襲や慎重姿勢に偏り、迅速かつ柔軟な判断が難しくなるという。
韓国軍では指揮権(軍令)と行政権(軍政)が分離されており、参謀総長は主に人事や編制を担う一方、実際の作戦指揮は作戦司令官が担う。このため司令官の不在は、単なる人事上の空白にとどまらず、実質的な指揮機能の弱体化につながるとの見方がある。
さらに問題は陸軍にとどまらない。海軍でも作戦司令官が空席となっている。中東情勢の緊迫化を受け、米国が同盟国に艦艇派遣を求める可能性が指摘される中、実務的な運用を担う指揮官不在は対応力に影響を与えかねない。
北朝鮮は最近、軍事境界線付近での活動を活発化させており、突発的な事態への即応が求められている。こうした状況下で、現場指揮官の不在は「責任はあるが権限が不十分」という構造的な問題を生んでいる。
軍高官人事は国防相の提案と大統領の任命によって決まる。安全保障環境が急速に変化する中、現場の指揮体制を安定させるためにも、迅速な人事決定が求められている。
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