
韓国軍は北朝鮮の核・ミサイル施設の位置や動きを監視するため、30cm解像度の偵察衛星5機すべての打ち上げに成功した。これにより、北朝鮮の主要軍事動向を2時間ごとに把握可能となり、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の移動経路や未確認施設の用途まで精密に分析できる体制が整った。
今回の打ち上げで「キルチェーン(Kill Chain)」の核心戦力である偵察衛星網が一応完成した。キルチェーンとは、北朝鮮が大量破壊兵器を使用する兆候を事前に探知し、先制的に排除する攻撃体系のこと。偵察衛星の高度な機能は、その探知から攻撃までの時間を最小化するための鍵となる。
偵察衛星5号機は2025年11月2日午後2時9分、米国フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍施設から、米スペースX社の再使用ロケット「ファルコン9」によって打ち上げられた。発射から14分後にロケットから分離し、目標軌道への投入に成功。同日午後3時9分には地上局との通信にも成功し、運用試験段階へと移行した。
この5号機は、2013年に始まった韓国軍の衛星取得プロジェクト「425事業」の最終機で、総事業費は1兆3000億ウォン。EO・IR(電子光学・赤外線)衛星1基とSAR(合成開口レーダー)衛星4基で構成されており、1号機(EO・IR)は2023年に、2〜5号機(SAR)は2024〜2025年に発射された。
EO・IR衛星は太陽光を利用して昼間の撮影に強みがある一方、天候や夜間には限界がある。そのため赤外線センサーにより、対象の熱を検出して画像化する補完的機能が必要となる。一方、SAR衛星は自ら電波を照射し、反射波を画像化する方式のため、天候や時間に左右されず常時観測が可能だ。
SAR衛星は30cm四方の物体を1点として認識できる高解像度を持ち、人物や車両などの識別にも対応できる。北朝鮮の核開発施設や弾道ミサイルの移動を、これまで以上に高精度で把握できる。特にキム総書記の移動経路や未確認施設の特定など、これまで米国に依存していた情報収集の一部を自力で可能にすることが期待されている。
韓国軍は現在、既に1〜3号機の実戦配備を完了し、4号機は運用評価中。全5機が運用されると、2時間単位で北朝鮮の挑発兆候を監視できる体制が構築される。
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