
韓米両政府が自動車関税を25%から15%に引き下げることで合意したにもかかわらず、トランプ米大統領が関連行政命令に署名しておらず、韓国完成車業界の輸出競争力が揺らいでいる。
両国は7月末の協議で関税率引き下げに合意したが、適用時期を明確に定めていない。トランプ大統領は日本車にはすでに15%の関税を適用する命令に署名した一方、韓国車については署名を見送っており、不公平だとの不満が出ている。
背景には投資や雇用をめぐる条件の食い違いがある。米国は対米投資で現金直接投資の比率を高めるよう求めているのに対し、韓国は外為市場安定のため無制限通貨スワップを主張している。さらに韓国企業は熟練した自国人労働者を投入して迅速な工場完成を目指すが、米側は自国労働者が技術を習得し長期的に雇用を担うことを望んでいる。
こうした中、ジョージア州で現代自動車とLGエナジーソリューションの工場建設に従事していた韓国人労働者が米移民当局に拘束された事件が新たな変数として浮上した。米政府がこれを口実に関税引き下げを遅らせる可能性が指摘されている。
ラトニック米商務長官は「韓国も(日本のように)合意に署名しなければ関税を払うしかない」と発言し、圧力を強めた。トランプ大統領も9月14日、自身のSNS「トゥルースソーシャル」に「外国企業や労働者を歓迎する」と投稿したが、実際には「米国人への技術移転と雇用拡大」を条件とするシグナルだとの解釈が広がっている。
業界関係者は「ジョージア州での拘束事案を踏まえると署名は当面遅れる可能性が高い。25%関税が長期化すれば企業負担はさらに大きくなる」と懸念を示した。
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