昨年1年間、韓国の流通関係を熱くした主要キーワードを振り返れば、日本関連のコンテンツが特に多かった。日本モノが話題になるたびに、つけられるコメントが「ノージャパンを忘れたんですか?」だ。
オープンラン(ドアが開くやいなや走って購入する行為)を起こす「ポケモンパン」、ノービザ自由旅行が許されて爆発的に増えた日本旅行、250万観客突破を目前にしたアニメ「ザ・ファーストスラムダンク」まで、新年に入っても韓国で「J(日本)コンテンツブーム」が続いている。
2019年7月、日本の対韓国輸出規制を契機に浮上した「ノージャパン」(日本製品不買運動)のブームが、時間が経つにつれ、徐々に静まっているようにみえる。それでも依然、「行きません、買いません」と叫ぶ人も少なくない。
ノージャパンは一時、韓国流通業界における最大の難題でもあった。
ある瞬間、コンビニと大型マートから日本産の酒類・食べ物が姿を消し、代表的な日本ファッションブランド「ユニクロ」の売り場が一つ二つ、閉店した。「戦犯企業」ではない。なのに「メイド・イン・ジャパン」という理由だけで標的にされたのだ。
それから3年間。長くて暗い新型コロナウイルス感染のトンネルを通り抜け、政権が、そして日本との関係の基調が、変わった。
ポケモンパンとスラムダンクグッズを買うために夜明け前から並ぶ。空路が開かれると、真っ先に日本旅行を予約する。こうした風景は隔世の感がある。
2019年にノージャパンが高まったころ、互いに顔色をうかがうような雰囲気さえあった。ユニクロのオフライン売り場には誰もいなくなり、店は閉じられた。一方で同じ期間中、「外部の視線のない」ユニクロオンラインモールではさまざまな商品が品薄現象を起こし人気を博した。対照的だった。他人の視線から比較的自由なオンライン上では、個人は消費嗜好によって意思決定をしたわけだ。
ポケモンやスラムダンクなど日本の「Jカルチャー」が人気を集める最近も、これらに関連する記事には「ノージャパンを忘れたのか」と批判する人がついて回る。「ノージャパン」に加わるかは個人の判断によるのに、そうしなければ「裏切り者」という烙印を押す、という風潮が一部にはある。
自由貿易時代に特定国家の商品・サービスを無条件に排斥しようとする態度が、果たして妥当なのか。
「現在、韓国が置かれている外交・安全保障の状況や経済的状況から見ると、韓日関係は過去に執着しすぎるより、未来に向かって進まなければならない」
このハン・ドクス(韓悳洙)首相の発言は、一理ある。
ソウル・明洞(ミョンドン)には韓流のカルチャーを見に訪れる日本人観光客が目立って増えている。韓国の化粧品やファッション業者の中には、日本進出を熱望し、現地で定着するために孤軍奮闘するところが少なくない。
消費者のニーズに応じた製品の選択、民間レベルの経済・文化交流を無理に止めるべきではない。たとえ「ノージャパン」が個人の信念であっても、不買運動に加わるよう誰かに強要するのは、もはや時代の精神に合わない。【NEWSIS パク・ミソン記者】
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