
韓国観光は現在、「訪韓外国人2000万人」という目標に向けて動いている。グループ「BTS(防弾少年団)」のフルメンバー復帰などの追い風もあり、文化体育観光省や韓国観光公社のトップが海外を巡り、いわゆるロードショーで観光PRを強化している。
しかし、フランス・ニースで開かれた観光イベント「ランデブー・アン・フランス2026」の現場は、韓国に根本的な課題を突き付けている。世界の旅行業界関係者を自国に呼び込む「受け入れ型ビジネス」を構築できていない点だ。
韓国のインバウンド政策は依然として海外中心で、多額の予算を投じて各国でPRを展開する一方、世界の有力な旅行商品企画者を韓国の地方に招き、直接体験させる仕組みは十分とはいえない。
これに対しフランスは、世界中のバイヤーや旅行会社を自国に招く。開催地もニース、リヨン、トゥールーズなど毎年変更し、各地域の魅力を実体験として提示する。参加者は費用を負担してでも訪れ、その場で商品化につながる商談を重ねる。この仕組みが、フランス観光が世界トップを維持する要因となっている。
さらに特徴的なのは、イベントの舞台設定にある。一般的なホテルや展示場にとどまらず、旧駅舎を改装した文化施設や市場、百貨店、セーヌ川のクルーズ船など、都市そのものを体験の場として活用している。現地の食や文化を体感させることで、映像では伝えきれない価値を直接訴求している。
現地で取材した韓国の旅行業界関係者からは「こうした大規模なビジネスイベントを韓国で見たことがない」「地方を巡りながら商品を企画できる場が必要だ」といった声が上がった。
韓国観光の課題は、魅力的な旅行商品の不足にある。精緻に設計された商品が市場に定着してこそ、インフラ整備や個人旅行市場の拡大につながる。商品が伴わないPRは効果が限定的になりかねない。
背景には、中央政府と地方、民間の連携不足がある。フランスが収益を軸に一体となって動くのに対し、韓国では自治体ごとの分断や行政主導の非効率が障壁となっている。
今後は、海外での宣伝に偏る戦略を見直し、国内に世界のバイヤーを呼び込む「体験型ビジネス」の構築が求められる。ニースで2日間に約2万8000件の商談が成立した事実は、綿密に設計された仕組みの重要性を示している。
韓国観光が次の段階へ進むためには、「外に出る観光」から「呼び込む観光」への転換が不可欠だ。【news1 ユン・スルビン観光専門記者】
(c)news1