
米トランプ政権が韓国製造業の「供給過剰」を理由に通商法301条に基づく調査を開始したことで、韓国の産業界に不安が広がっている。輸出に依存する韓国は総輸出の約84%を製造業が占めており、米国の新たな関税措置が韓国経済に大きな打撃となる可能性があるためだ。
今回トランプ政権が持ち出した通商法301条は、各国に一律で課される相互関税とは異なり、特定の産業や品目を対象に関税や制裁措置を課すことができる制度だ。企業側からは、従来の関税よりも不確実性が大きいとの懸念が出ている。
米通商代表部(USTR)は11日(現地時間)、韓国を含む16の経済主体を対象に、追加関税の可能性を視野に入れた301条調査を開始した。これは米連邦最高裁の判断によって事実上機能しなくなった相互関税(IEEPA根拠)の代替措置を準備する動きとみられる。
通商法301条は、米国の貿易に制限や負担を与える外国政府の「不当・不合理・差別的な政策や慣行」に対し、関税などの措置で対抗する権限を米政府に与える制度だ。USTRは韓国を調査対象とした理由として「製造業の供給過剰」を挙げた。
韓国産業通商資源省のヨ・ハング(呂翰九)通商交渉本部長は12日、「今回の調査は製造業分野の供給過剰がテーマだ」と説明し、「意見提出期間は今月17日から4月15日までであり、産業界と協議して政府の公式意見書を提出する」と述べた。
電子機器、自動車・部品、機械、鉄鋼、石油化学、造船など、USTRが過剰生産と指摘した業種では戸惑いの声が広がっている。トランプ政権が自国の判断で特定の国や産業を圧迫する手段として利用しているとの見方もある。
半導体業界の関係者は「サムスン電子やSKハイニックスは工場稼働率がほぼ100%だが、市場需要に供給が追いつかない供給不足の状況だ」とし、「製品を在庫として積み上げて安値で売るような過剰生産とは、韓国製造業の実態とかけ離れている」と語った。
さらに通商法301条は関税に限らず、さまざまな制裁措置を可能にする点も企業側の懸念を強めている。米政府の判断次第で、懲罰的な罰金や報復関税、輸入数量制限などが課される可能性がある。どのような形の制裁になるかが不透明であることから、業界では「301条は米国の魔法の杖のようなもの」との声も出ている。
貿易専門家は「301条は、特定の国が米国の商業的利益を侵害した場合に、米国が関税や制裁を課す制度であり、関税以外の手段も取り得る」と指摘する。また別の専門家は「制裁対象は国全体にも、特定産業にもなり得る。例えば韓国産キムチを調査対象にしても、実際の報復関税は化粧品に課されるといった“クロス報復”も可能だ」とし、「関税リスクは一段と高まった」と述べた。
韓国政府は、同日国会本会議を通過した対米投資特別法などを軸に、韓米間の戦略的経済協力の重要性を米側に説明する方針だ。
ヨ・ハング氏は「主要な競争国と比べて不利な扱いを受けないよう協議していく」とし、「常に緊張感を持ち、国益を最大化できるよう緊密に対応していく」と述べた。
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