
韓国の防衛大手、ハンファエアロスペースが欧州市場への本格進出に向けた動きを強化している。欧州における「K-防衛産業」への警戒感が強まる中、現地化と戦略的パートナーシップを前面に押し出すことで、突破口を見出そうとしている。
業界関係者によると、ハンファエアロスペースは先月、ドイツで現地の政府関係者や防衛産業関係者を対象とした「インダストリーデイ(Industry Day)」を開催。韓国防衛産業の強みである「迅速な納期」「大量生産力」「戦略的提携」を紹介した。
このイベントは、同社が進める「現地化(Localization)戦略」の一環だ。対象国での生産と雇用創出を通じて、長期的な市場定着を目指す構えだ。
背景には、欧州各国がトランプ米大統領による防衛費増要求を受け、国防予算を大幅に増やしている事情がある。北大西洋条約機構(NATO)はGDP比2%の防衛費水準を5%まで引き上げる案に暫定合意したとされ、加盟国の軍事予算は昨年の約4570億ドルから、約8000億ドル規模にまで膨らむ見通しだ。
こうした動きはK-防衛産業にとってチャンスでもありリスクでもある。欧州市場拡大は追い風だが、現地産業の保護政策が強化されれば、逆風となる可能性も高い。
実際、EUは現地調達率を現在の20%から65%まで引き上げる目標を掲げており、一部国家では自動車メーカーの生産設備を活用して軍需品製造を増やす動きも見られている。
これに対抗し、ハンファは現地生産を解決策として打ち出している。欧州展開の拠点であるポーランドでは、誘導兵器の生産基地設立を計画中で、砲弾の生産施設も併せて準備を進めている。
このような中での現地関係者との積極的なコミュニケーションは、単なる製品PRを超えた、長期的な協力関係構築の鍵となりうる。
業界関係者は「K-防衛産業は技術力だけでは欧州市場を攻略できない」とし、「現地との信頼構築と個別対応型の協力戦略が輸出の成否を分ける」と述べた。
(c)news1