2025 年 6月 6日 (金)
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韓国若者が政治の主役に…「どうせ無関心」はもう古い [韓国記者コラム]

5月18日、大統領選挙候補者討論会に参加した主な大統領候補(c)news1/MONEYTODAY

韓国大統領選(6月3日)を前に、20~30代の政治への関心がかつてないほど高まっている。かつては「政治に無関心」「無党派層」と見なされていた若者たちが、今や政局のカギを握る「主役」へと変貌している。

この背景には、既成世代や社会構造への根強い不満、そしてSNSを通じた情報共有の拡大などがある。さらに、昨年12月のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領(当時)による「非常戒厳」宣布をきっかけに、政治に対する危機意識を持った若者たちが「選挙に行かなければ未来は変わらない」との思いで動き出している。

実際、若者が参加した抗議集会の現場では、大学の学科ジャンパーを羽織った参加者や、アイドルの応援グッズであるペンライトを手にした姿が見られた。これは、従来の硬直した政治参加のスタイルから脱却し、「自分たちの文化」で政治に関わろうとする新しい姿でもある。

MONEYTODAYが20~30代の38人に実施したインタビューによると、彼らが今回の選挙で最も重視する公約は▽不動産政策(住宅問題の解決)▽雇用創出策(質の高い働き口)▽少子化対策(出産・育児支援)▽国民年金制度の改革▽労働環境改善(週4.5日制・包括賃金制の見直し)――の5つだった。

◇住宅問題への切実な願い:「自分の家を持つことが遠い夢のようだ」。これは多くの若者が口にした言葉だ。急騰する不動産価格、賃貸詐欺、住宅ローンの負担。これらの問題により、20~30代は人生設計の起点となる「住まい」を確保することすら困難になっている。地方から上京してきた若者は「住居が確保できなければ就職や結婚に踏み切れない」と訴える。

◇深刻な雇用問題:「25人の友人グループで就職しているのはたった5人」。これはある20代の声だ。若者たちは口々に「就職難」「低賃金」「ブラック企業」を訴える。一方で「政府は実効性ある就職支援プログラムを設けるべきだ」と現実的な対応を求めている。

◇少子化は住宅・雇用とつながっている:「働いても将来が見えない。だから結婚も出産も選べない」。20~30代の多くがこう語る。特に育児休暇の取得が現実的に難しい職場環境においては、「妊娠した瞬間、仕事を失うのではないか」という不安が女性を強く縛っている。

◇年金制度の不信と持続可能性:「将来、自分は年金を受け取れないと思っている」。このような不安は20~30代に広く共有されている。すでに「自分の世代には年金は残っていない」との“諦め”さえ漂っており、若者たちは制度の抜本的改革を求めている。

◇週4.5日制と包括賃金制の見直し:「働いても報われない」。こうした思いが、週4.5日制などの「労働時間の短縮」や、「残業代込みの曖昧な給与体系(包括賃金制)」に対する関心を高めている。中には「週4.5日制は非現実的だが、少なくとも労働搾取を正す改革は必要だ」という現実的な意見もある。

20~30代が声を上げるのは、単に「政治に関心が出たから」ではない。その背景には、今の社会構造そのものに対する深い不満と怒りがある。彼らは「既存世代が問題を放置した結果、我々がそのツケを払う時代になった」と語る。

SNSの発達もまた、若者たちが迅速に情報を得て意見を発信する手助けとなっている。しかし一方で、「偏った情報ばかりを信じて政治的に過激化していないか」という懸念の声もある。

それでも、多くの若者が語るのは「自分の意見を持ち、表現することの大切さ」だった。

「どうせ期待できないけど、少なくとも最悪は避けたい」「理想じゃなくて、普通の政治がしたい」「中途半端でもいいから、正常に国を運営してほしい」。こうした“あきらめ半分、期待半分”の声が、20~30代の現実感を物語っている。

彼らが求めるのは「国民を分断しない統合型リーダーシップ」だ。「少数派や若者を攻撃材料にする候補は絶対に嫌だ」という声も多く聞かれた。

選挙ごとに票が大きく動く20~30代は、今やどの政党も無視できない決定的な勢力となった。重要なのは、彼らの声を「一時的な風潮」と片づけるのではなく、「社会を変える意思表示」として正面から受け止めることだ。

この世代の一票一票が、未来の韓国を決定づける――その事実を、政治家たちはいま最も深く噛みしめるべきだ。【MONEYTODAY アン・ジェヨン、キム・ドヒョン、パク・ソヨン、チョ・ソンジュン、キム・ジウン、イ・スンジュ、オ・ソクジン、ミン・スジョン、パク・サンヒョク各記者】

(c)MONEYTODAY

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