
韓国の放送業界で、芸能人カップルによる「結婚リアリティ」番組が氾濫している。お笑い芸人のキム・ジュノとタレントのキム・ジミンは、公開恋愛の段階からプロポーズ、結婚式、新婚生活に至るまでの一連の過程を複数のテレビ番組で披露してきた。現在は結婚後の生活までもがリアリティ番組として放映されている。
このようなカップルは彼らだけではない。歌手のキム・ジョンミンは2023年10月から2024年4月まで、歌手のウン・ガウンと俳優のパク・ヒョンホは2023年9月から2024年6月まで、それぞれ『新郎授業』に出演し、結婚準備の過程を余すところなく公開した。女優のチェ・ヨジンも『同床異夢2』に3月から6月まで出演し、同様のフォーマットに参加した。
これらの番組が露呈させるのは、現実離れした豪華な結婚式の規模や芸能人特有の人脈、財力といった側面だ。それはあくまで「彼らが生きる世界」の一幕にすぎず、視聴者にとっては一方的に押し付けられるイベント鑑賞となっている。
単発企画ならまだしも、長期的なシリーズ化によって、必要以上の情報が垂れ流され、視聴者の疲労感が増している。共感性に乏しく、結婚を“スペクタクルな見世物”として描くにとどまる番組は、空虚なコンテンツへと成り下がっている。
芸能人の結婚は、最もプライベートな出来事でありながら、番組にとっては視聴率と話題性を兼ね備えた“おいしい素材”である。
プロポーズから新居への引っ越しまで、一連の流れを構造化した“既製フォーマット”を利用すれば、出演者だけ変えて繰り返し使える利便性もある。
最近では、男性アイドルグループ「神話」のイ・ミヌが深夜に突然結婚を発表し、その直後にKBS番組『家事する男たち2』が彼の婚約者を公開することを告知。番組の即時広報からも、結婚発表自体が周到に企画・連携されたコンテンツであることがうかがえる。
しかし、放送局側には「節度」が求められている。
多くの番組が話題性の消費に偏り、感動や面白さを欠いた演出に終始してきた。数カ月にわたってイベントと日常を逐一公開しようとするのではなく、視聴者の疲労感に配慮した密度の高いエピソードを制作する努力が必要だ。
単なる“お祝い映像”ではなく、関係性の成長や葛藤の解消など、視聴者が意味を見出せる普遍的な共感コードをもとにした真摯なリアリティ番組こそが求められている。
結婚リアリティの長期化によって視聴者の“結婚疲れ”が蓄積する中、どの番組が本当に価値ある視聴体験を提供できるかが問われている。【news1 チャン・アルム記者】
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