
韓国の国策航空宇宙メーカーである韓国航空宇宙産業(KAI)が、業績悪化に対応するため、本部長級以上の役員に対し下半期の業績賞与(ボーナス)を返上させるとともに、「週6日出勤」体制を導入することを決めた。役員らは毎週日曜日に出勤し、社内改革を協議する「経営改善委員会」を開催するという。
KAIは11月3日に社内通知を通じて、「韓国型戦闘機(KF-X)や小型武装ヘリ(LAH)など大型事業の開発が一段落するなか、次の成長動力が不透明で、既存事業も多くのリスクを抱えており、企業の生存自体が脅かされている」として、経営改善委員会の設置を明らかにした。
経営改善委員会は、部門長や本部長級の役員で構成され、今後は毎週日曜に出勤して、社内の改善点を集中的に議論していく。
あわせてKAIは、役員に対し2025年下半期の業績賞与の返上を命じ、出張時の日当支給を停止し、航空券の等級も引き下げるなど、待遇面の調整にも踏み切った。
KAIは社内通知で「部門ごとの能力が徐々に低下し、コスト増加が続いた結果、慢性的な収益性の悪化を招いている」と説明し、今回の決定に至った背景を説明した。
KAIは今年に入ってから複数の大型事業の受注に失敗しており、その影響で業績も急速に悪化している。
今年初めには約9613億ウォン規模のUH-60「ブラックホーク」性能改良事業を逃し、続いて1兆8000億ウォン規模の電子戦機開発事業、海軍向け標的機の研究開発、6000億ウォン規模の千里眼衛星5号開発事業などもすべて受注に失敗した。
この結果、2025年7~9月期(第3四半期)の売上高は前年比22.6%減の7021億ウォン、営業利益も21.1%減の602億ウォンにとどまった。KAI側は「一部事業の納品が第4四半期にずれ込んだため、一時的な鈍化だ」と釈明しているが、他の防衛大手企業との明暗は分かれている。
韓国の防衛産業大手「ビッグ4」とされるハンファ・エアロスペース、現代ロテム、LIGネクスワンは、いずれも前年比で売り上げ・利益ともに2桁の成長を記録し、過去最高業績を更新した。
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