
韓国空軍が実弾射撃訓練中に爆弾8発を民家に落とした事故は「パイロットの座標入力ミス」が原因と一次判断された。KF-16戦闘機のパイロットが爆弾を投下する予定だった標的と民家は、実に8kmも離れていた。単なるパイロットのミスだけでなく、地上での「人的エラー」を修正するシステムが機能しなかったことも指摘されている。
空軍関係者は6日、国防省の記者会見で「KF-16戦闘機2機がMK-82爆弾を4発ずつ異常投下した」「異常投下の原因は、現在のところパイロットの座標入力ミスと判断されている」と発表した。
空軍は同日、陸軍・在韓米軍と共に「連合合同統合火力実弾射撃訓練」を実施。KF-16戦闘機5機が、それぞれMK-82爆弾4発を投下する予定だった。しかし、KF-16の1番機と2番機は訓練場上空に姿を見せなかった。座標入力ミスにより、誤った地点へと向かったためだ。
戦闘機のパイロットが実弾射撃訓練に出る前日には、爆弾を投下する座標を計算し、USBに似た装置に保存して戦闘機に入力する。さらに、任務計画書と座標が一致しているかを確認する必要がある。
しかし、空軍の分析によれば、今回の事故を起こしたパイロットは▽座標と任務計画書の照合(1次点検)を怠った▽訓練直前、空中で座標の確認(2次点検)をしなかった▽目的地に到着後、目視確認(3次点検)をしなかった――の3度にわたる確認プロセスがすべて省略した可能性が高い。
空軍では、これまで爆弾の異常投下はほぼ前例がなかった。2004年にF-5B戦闘機が訓練用爆弾を誤って投下した事例はあったが、負傷者はいなかった。事故がなかったことで、熟練パイロットに全工程を任せる慣行が定着していた可能性がある。
合同参謀本部関係者は「通常、パイロットが座標を再確認するプロセスはあるが、編隊長、大隊長、管制官などがチェックする仕組みはなかった」と述べた。また「地上や空中で座標を確認する手順はあるが、今回の事例ではその過程でミスが発生したと考えられる」と説明した。
つまり、パイロットのミスを二重チェックするシステムがなかったということになる。地上でも、今回のKF-16の異常な飛行や爆弾投下を事前に察知することはできなかった。
1番機のパイロットの座標入力ミスが、2番機の誤爆にも影響を与えたとみられる。今回の訓練は1番機の信号に従って2番機が実弾射撃をする方式だったため、計8発の爆弾がすべて誤った地点へと向かった。
空軍関係者は「KF-16の2機が今回並んで実射撃訓練をした。1番機のパイロットが座標を誤入力し、2番機のパイロットもそれに従って発射した」と説明した。
KF-16戦闘機は、6日午前10時4分ごろ、京畿道(キョンギド)抱川(ポチョン)の勝進科学化訓練場付近でMK-82爆弾8発を異常投下。この爆発により15人が負傷した。負傷者には義務兵士3人と軍幹部2人も含まれているが、重傷者はいないと軍当局は説明している。
MK-82は500ポンド(約227kg)級の汎用爆弾で、建物や橋梁の破壊に使用される。地面に落ちると直径8m、深さ2.4mの爆破クレーターを作る。1発の殺傷半径は一般的なサッカー場(7140㎡)ほどで、破片は最大1万9200㎡まで到達する。
国防省は事故原因が判明するまで、小銃訓練を含むすべての実弾射撃訓練を中止すると発表している。事故調査の進展に応じて、10日から予定されている米韓合同演習「自由の盾(FS)」の実弾射撃訓練の実施可否も決定する。
イ・ヨンス空軍参謀総長(大将)は「空軍は今回の異常投下事故を厳重に受け止め、徹底的に調査し、責任者を処分する。このような事故が二度と発生しないよう、再発防止策を講じる」と述べた。
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