
韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領の妻キム・ゴニ(金建希)氏をめぐる疑惑を捜査している特別検察官チームは8月28日、野党「国民の力」国会議員のクォン・ソンドン(権性東)氏に対して拘束令状を請求した。政治資金法違反の容疑で取り調べを受けた翌日の迅速な動きとなった。
特検チームは、27日に約13時間半にわたり、クォン・ソンドン氏を取り調べた結果、身柄の確保が必要と判断したとされる。これは、今回の「キム・ゴニ特検」など3大特検のうち、現職国会議員に対する初の拘束令状請求となる。
クォン・ソンドン氏には、2022年1月に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)のユン・ヨンホ前世界本部長から1億ウォンを受け取った疑いがかけられている。また、同年2~3月には、教団のハン・ハクチャ(韓鶴子)総裁から金品が入ったショッピングバッグを受け取ったという疑惑も浮上している。本人は教団関係者と会った事実の一部を認めたものの、「金は受け取っていない」と主張し、核心部分については否定したとされる。
クォン・ソンドン氏は28日、自身のSNSで「不逮捕特権の背後には隠れない」と明言し、「以前も自ら放棄したように、今回も自らその権利を放棄する」と表明。2018年の江原ランド採用不正事件の際にも、同様に特権放棄を宣言して拘束前審問を受けていた。
ただ、不逮捕特権を本人が放棄しても、国会議員の逮捕には国会の同意が必要となるため、通常通り国会での「逮捕同意案」処理手続きが進む見通しだ。
現行の国会法によれば、管轄の裁判所は拘束令状を発付する前に逮捕同意請求書を政府に提出し、政府はその写しを添えて国会に逮捕同意を求めなければならない。国会議長は、最初に開かれる本会議で逮捕同意請求を報告し、報告後24時間以降72時間以内に採決する必要がある。採決されなかった場合、次回の本会議に自動的に上程される。
逮捕同意案の可決には、在籍議員の過半数出席と、そのうち過半数の賛成が必要となる。否決された場合は、裁判所が審査なしに拘束令状を棄却する。ただ今回の特検チームは特別法に基づいて設置された組織であるため、これまで通りの手続きが適用されるかは明確でない。特検チーム側は「逮捕同意手続きについて法務省と協議中」としている。
仮に通常通りの手続きが取られた場合、「共に民主党」が国会で圧倒的な多数を占めているため、「国民の力」単独では逮捕同意案を否決することは難しい。
特検チームは、今回のクォン・ソンドン氏の身柄確保を足がかりに、教団関連の残る疑惑についても本格的な捜査に乗り出す方針だ。
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