◇事業管理より組織文化責任者の役割
クォン代表はもともと、韓国サムスン電子コンピューター事業部のソフトウェアエンジニアだった。「永林院ソフトラボ」創業後、24年以上にわたって、ERP分野に集中し、この分野で韓国を代表する企業に育て上げた。
クォン代表は自ら、最高技術責任者(CTO)を兼任するほど研究開発を重視しているため、職員の中には「代表」ではなく「院長」と呼ぶ人も少なくない。
同社は2020年、コスダック上場に成功し、アジアをはじめとする海外市場でのシェアを拡大している。昨年の年間売り上げは477億ウォン(約50億円)を記録している。
上場後は最高文化責任者(CCO)も兼任する。事業の管理より、企業文化づくりに力を入れている。
良い人材が集まる職場、働きたい職場になるためには、それを実現するための優れた企業文化が不可欠だ――これがクォン代表の持論だ。
◇湖を眺めてワーケーション
「永林院ソフトラボ」には読書討論会以外に、外部からうらやましがられる企業文化・福祉がいくつかある。その代表例が「ワーケーション」だ。
同社は、韓国江原道(カンウォンド)束草(ソクチョ)の青草湖(チョンチョホ)が一望できるホテルを借り上げ、職員のワーケーションのために利用している。
1週間、職員4人が2人1組になり、トイレ付きの25坪のワンルームで過ごす。ホテル宿泊や食事代25万ウォン(約2万6000円)、交通費を会社が支給する。
これに応募するため、毎月、申請期日が始まる日には“早押しクリック競争”が起きるほど、職員に人気が高い。
◇退社した人も戻ってくる…
永林院は来年、創立30周年を迎える。2013年の20周年の際には、職員全員がマレーシア・コタキナバルに行き、海外ワークショップを取り組んだ。来年は沖縄での開催を考えている。
韓国のソフトウェア企業の中で「永林院ソフトラボ」は特に長期勤続者が多い。退社した人が、再び戻ってくるケースも少なくない。
クォン・ヨンボム代表は組織の運営方針をこう総括した。
「企業が成果を出し続けるには、優れた企業文化を定着させる必要がある。『人間』対『人間』という考えに立ち、相手を尊重するためには、自らの尊厳からまず回復し、個人を発展させることができれば、おのずと会社も発展する」
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