
韓国映画界を代表するヒット作『7番房の奇跡』や『犯罪都市』シリーズ。一見共通点のないこれらの作品を結びつけるキーワードがある。韓国ベンチャー投資が運用する政府系ファンド「母胎(モテ)ファンド」の投資を受けている点だ。
公開から27日で観客900万人を突破し、1000万人到達が目前となった映画『王と暮らす男』も、この“ヒットの公式”を踏襲している。
映画業界では観客需要の減少や視聴チャンネルの変化により収益性が悪化し、民間資本が不足する状況が続いている。こうした中、母胎ファンドは制作費を支える重要な資金源になっていると評価されている。
ベンチャー投資業界によると、『王と暮らす男』の純制作費111億ウォンのうち、51億ウォン(約5億6100万円)が母胎ファンドの文化・映画勘定から投資された。割合は約46%に上る。
近年は米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)など世界的なOTTに資金が集中し、韓国映画制作業界は資金難に直面していた。母胎ファンドが「アンカー投資家」として中心的役割を担わなければ、この作品も制作が難しかった可能性があるという。
実際、観客1000万人を突破した韓国映画の多くが、母胎ファンドの支援をきっかけに制作されている。代表例が『7番房の奇跡』だ。低予算作品ながら観客1281万人という大ヒットを記録した背景には、作品の潜在力を見抜いて初期投資を決めた母胎ファンドの判断があった。
民間投資家が「安全な大作」に集中する傾向がある中、母胎ファンドは作品の独創性や可能性に着目し、積極的に投資する“呼び水”の役割を担ってきた。
母胎ファンドの強みは単に資金を提供することではなく、長期的に支え続ける点にある。最近、北米でヒットしているアニメ映画『キング・オブ・キングス』は2015年に企画が始まり、制作だけで10年を要したが、母胎ファンドは2016年から2022年まで継続して資金を投入した。
また、母胎ファンドの成功は投資回収だけで終わらない。『王と暮らす男』や『犯罪都市』などで得た収益は再び文化・映画勘定に戻され、新人監督や新しい企画への投資に回される。いわば資本の好循環が形成されている。
政府が文化を国家戦略資産として保護する方針と専門的な投資システムが結びつき、低迷する韓国映画産業を再び活性化させる原動力になっているとの評価もある。
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