韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領官邸近くで開かれた保守系デモに参加した20~30代の若者たちは、従来の保守や進歩の枠組みを超えた複雑な声を上げている。デモに参加する理由について、彼らは特定の政党やイデオロギーへの支持ではなく、共に民主党など進歩勢力への反発や韓国の将来を守るためだと説明した。
デモ現場では、保守派の参加者たちが若者の参加を歓迎する姿が見られた。ある参加者は記者の取材に「若い人たちがいて心強い」と話し、発言を促す場面もあった。一方で、デモに参加する若者たちは、自分たちは「保守派」ではないと主張しつつも、進歩勢力に対して強い反発を抱いていると語った。
若者たちは、必ずしも保守的な価値観や政党を支持しているわけではない。むしろ、進歩派を「親北勢力」や「反国家勢力」として批判して、その影響力を阻止するために行動していると述べた。
例えば、27歳の女性会社員は「韓国の保守は既に破綻しており、それが今の国の現状を招いた」と辛辣な評価を下しつつも、進歩勢力への不信感が強いと語った。
また、34歳の女性会社員は「どの政治家も嫌いだが、韓国が中国に飲み込まれるのを防ぐためにユン大統領を支持している」と述べた。
彼らの言葉や行動は、保守派の高齢者と似通っているものの、ユン大統領の象徴的な振る舞いには必ずしも共感を示していない点で異なっている。
若者世代のデモ参加について、専門家たちはさまざまな分析を示している。従来、若者は進歩的とされていたが、最近では特定のイデオロギーに偏らず、状況や争点に応じて立場を変える傾向があるという。
延世大学のヤン・スンハム名誉教授は「かつては民主主義と独裁の対立が主な争点だったが、現在は争点が多様化し、若者の中でも意見が分かれる」と指摘している。また、2017年のパク・クネ(朴槿恵)大統領(当時)の弾劾時の成功体験が、若者の政治的効力感を高め、特定のイデオロギーに囚われない行動を促していると分析した。
一方で、若者の保守デモ参加を一つの「現象」として捉えるには時期尚早との声もある。龍仁大学のチェ・チャンリョル教授は「若者が大勢を占めるならば現象として認識されるだろうが、現時点では限定的なものであり、特殊な事例に過ぎない」と述べた。【news1 ユ・スヨン記者】
(c)news1