
韓国政府の物価安定政策に合わせ、食品企業が相次いで商品価格の引き下げに踏み切っている。しかし業界では収益悪化への懸念が強まり、「値下げジレンマ」に直面している。
小麦粉や砂糖など一部原材料の価格は下がっているが、包装材や物流費、人件費などのコスト負担は依然として高いためだ。さらにイランを巡る地政学的緊張により、原油価格や為替の変動性も高まっている。
食品業界によると、最近はラーメンや菓子、ベーカリーなどを中心に値下げの動きが広がっている。政府の物価安定方針に加え、小麦粉、砂糖、食用油など一部原材料の価格下落も背景とみられている。
ただ、業界では値下げ余地は大きくないとの見方が多い。食品価格は原材料だけでなく、包装材、物流費、人件費、エネルギー費など多くの要素で決まる。近年は人件費や物流費が上昇し、エネルギー費や包装材価格も不安定なため、原材料価格が下がっても全体コストは高止まりしている。
さらに中東情勢の緊張が新たな不確実性となっている。イランを巡る軍事的緊張が高まれば国際原油価格が変動し、石油由来の包装材や物流費の上昇につながる可能性がある。
実際、加工食品で揚げ油として使われるパーム油の先物価格は、マレーシア・クアラルンプール取引所で1トン当たり4599リンギットとなり、2月25日の4006リンギットと比べ約14.8%上昇した。
また菓子やラーメンの包装に使われるポリエチレンなどの原料ナフサも原油価格の影響を受けるため、原油が上昇すれば包装費用の増加につながる可能性がある。輸送費や配送費など物流費全体の上昇も懸念されている。
中東情勢による為替変動も企業の負担を押し上げる要因だ。小麦やトウモロコシ、パーム油など多くの原材料を輸入に依存しているため、ウォン・ドル相場が変動すれば原価負担が増える可能性がある。
業界関係者は「すでに値下げした企業は収益性の低下をある程度受け入れざるを得ない」としたうえで、「まだ値下げしていない企業も原価の不確実性が大きく判断に悩んでいる」と話している。
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