韓国で継続的に発生している産業技術の流出を防ぐため、政府が制度強化に乗り出した。処罰規定を大幅に強化し、これまで盲点となっていたブローカーへの罰則規定も新たに設ける。また、技術流出を狙ったM&Aについては、担当相の職権で取り消せるようにする。
韓国産業通商資源省は27日、「第58回産業技術保護委員会」を開催し、こうした趣旨を反映した「第5次産業技術流出防止および保護に関する総合計画」と国家先端戦略技術および国家核心技術の輸出承認案など計6件の議案を審議し、国家核心技術のクラウドサービス利用に関する方策についても議論した。
韓国で11月までに摘発された産業技術の海外流出事例は21件にのぼり、過去5年間で技術流出による企業被害額は25兆ウォン(約2兆6800億円)に達すると推定されている。
今回の計画では、技術流出の手法が多様化・巧妙化する中、現行審査制度の欠点を補完するための措置が講じられた。
M&Aに対する専門的審査のため、産業技術保護専門委員会にM&A分野を新設。未承認・未申告の輸出やM&Aに対しては、産業通商資源相が職権で中止、禁止、原状回復を命令できるよう制度を改善する。また、国家核心技術の海外流出に対する罰金を現行の15億ウォンから65億ウォンに引き上げ、懲罰的損害賠償の上限も3倍から5倍に拡大する。
さらに、技術流出を仲介・あっせんするブローカーに対する罰則規定も新設。特別司法警察官の必要性について関係機関と議論を進める。
技術流出の可能性が低い核心技術の輸出行為については、一部の審査手続きを簡素化または免除する方針だ。これにより、審査期間の短縮が期待される。
第5次総合計画には、新たな国家核心技術の指定計画が含まれている。具体的には、バッテリー分野の積層セラミックコンデンサー(MLCC)設計および製造技術、宇宙分野の合成開口レーダー(SAR)搭載技術が対象となる。最近、サムスン電機がMLCC関連事業で獲得した技術を活用して小型全固体電池を開発している。
また、技術の専門性を考慮し、高度な専門機関を「技術安全センター」に指定し、国家核心技術の指定および変更に必要な産業分析と技術審査を担う予定だ。
さらに、国家核心技術にクラウドサービスの利用を許容する一方、技術流出リスクを最小限に抑えるため「産業技術保護指針」にクラウド保護措置基準を設ける方針だ。これには技術資料の保存場所、情報主体および利用者の権利、事故対応手続き、クラウド事業者との連携事項が含まれる。
政府は来年初めに具体的なガイドラインを策定・普及させ、より安全な技術管理体制の構築を目指す。
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