2025 年 6月 18日 (水)
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韓国政府が対北朝鮮ビラ規制に本腰…「表現の自由」侵害回避の法的対応

2025年4月27日、京畿道坡州市で北朝鮮向けビラを飛ばす準備をする脱北者家族会のメンバー=脱北者家族会提供(c)news1

北朝鮮へのビラ散布を巡り、韓国政府が取り締まり強化の方針を打ち出している。イ・ジェミョン(李在明)大統領が南北関係改善のために民間団体に対しビラ散布の中止を求めたことを受け、表現の自由とのバランスをどう取るかが焦点となっている。

政府は2020年、北朝鮮が南北共同連絡事務所を爆破後、「南北関係発展法」の改正によりビラ散布を禁止したが、2023年9月に憲法裁判所が表現の自由を侵害するとして違憲判断を下していた。ただし、憲法裁はビラ散布そのものが違憲とはせず、「立法による規制の可能性」を認めていた。

これを受け、韓国政府は、航空安全法や災害安全法、高圧ガス安全管理法などの既存の法令を適用することでビラ散布を規制しようとしている。たとえば、2kg以上の物を吊るして飛行する気球は航空安全法に違反する可能性があり、災害安全法に基づき特定地域への立ち入りを制限する措置もとられている。

一方、法的実効性に疑問を呈する声もある。脱北者家族会のチェ・ソンリョン代表は「2kg未満のヘリウム風船を使えば法を回避できる」と主張。通報なしで密かにドローンを用いて飛ばすことも可能だと述べた。

政府は16日、統一省人道人権室の主導で関係省庁会議を開き、ビラ散布の防止に向けて接境地域の警備強化や地方自治体の巡回、法改正などの対策を進める方針を確認した。

一部専門家は「処罰よりも予防が重要」と強調。ビラ散布の主体となっている統一省登録団体との事前の意思疎通を通じて、自発的な中止を促すべきだという。

また、慶南大学極東問題研究所のチェ・ヨンジュン教授は「刑罰ではなく過料の導入や、接境地域住民への損害補償制度の整備などが社会的合意形成に有効」とし、立法過程において公聴会などを通じた熟議が重要だと指摘した。

(c)news1

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