
韓国国土交通省は、国民の航空安全に対する不安を払拭し、信頼を回復するため、空港施設から航空会社の整備・監督体制までを全面的に見直す「航空安全革新策」を発表した。
今回の対策は、死亡事故が発生した場合にその航空会社の運航権を1年間制限するなどの厳しい制裁措置と、優良な航空会社へのインセンティブ制度を両立させたもので、事故の未然防止と構造的な安全改革を柱とする。
4月30日に同省が明らかにしたところによると、この革新案は、航空安全革新委員会や民間専門家、現場関係者、国民の意見を踏まえて策定され、「空港施設の安全性強化」「航空会社の整備能力と監督の強化」「予防型の安全管理体制の構築」「航空安全ガバナンスの再編」の4大分野からなる。
全国の空港では、240メートル以上の終端安全区域の確保を義務化し、用地などの事情で困難な場合は滑走路逸脱防止装置(EMAS)の設置を推進する。さらに、軽量化された方位角施設、霧・雨などの悪天候に対応可能な先端セキュリティ検査装置、反ドローンシステム、AI・ドローン・レーダーを活用した鳥衝突防止装置など、最新設備の大規模導入も進められる。
航空会社に対しては、整備時間と人員の拡充、整備環境の改善、航空整備産業(MRO)の育成、整備士資格制度の見直しなど、整備能力の底上げが図られる。また、安全投資の情報開示制度は運航規模に応じた標準化と成果反映によって充実化され、安全投資で優れた実績を挙げた航空会社には報奨措置が与えられる。
政府の監督・管制機能も強化される。航空会社の運航証明や空港運営証明の再評価、特別安全点検、監督官の人員増加、AIやデジタルツイン技術の導入などにより、リスク予測とリアルタイム監視体制が構築される。さらに、操縦士の疲労管理やAR/VRを活用した緊急訓練など、人的資源の管理と教育も革新される。
特に注目されるのは、死亡事故を起こした航空会社に対して1年間の運航権配分からの除外を適用する新たな制裁制度だ。これにより安全管理に不備のある事業者を明確に制限し、一方で安全性に優れた航空会社には運航権配分での優遇措置を設けるという「アメとムチ」の政策が採用される。
(c)news1