韓国の防衛産業各社が昨年納付した遅滞償金が約740億ウォン(約78億円)と、この7年間で最低値だったことがわかった。法律を柔軟に適用して企業側の負担を減らし、「K-防衛産業」を国家戦略産業として育成する、という韓国政府の強い意思が反映された結果のようだ。
「遅滞償金」(遅延賠償金)とは、国と契約を締結した企業が正当な理由もなく契約履行を遅らせた場合、国が課す損害賠償金。企業側が遅滞償金の免除を願い出れば審査し、その理由が正当である場合などには返還に応じている。
2021年に防衛事業庁が防衛各社から徴収した遅滞償金は2091億ウォン(2414件)。返還した756億ウォン(173件)を除いて1335億ウォンを徴収した。ところが2022年は1210億ウォン(3523件)で、返還した470億ウォン(219件)を除いて徴収は740億ウォンにとどまった。前年比でマイナス44.6%だ。
遅滞償金はこれまで▽2015年が443億ウォン▽2016年が1078億ウォン▽2017年が2646億ウォン▽2018年が3111億ウォン▽2019年が1813億ウォン▽2020年が989億ウォン――などと推移している。2022年の740億ウォンは、2015年以後で最低だ。
韓国の防衛産業では、先端兵器システムを研究・開発する防衛事業契約に一般的な法令が適用されてきたため、過剰な遅滞償金が発生してきた。だがこうした遅滞償金が「企業の挑戦的な研究開発を阻害し、防衛事業の発展に否定的に作用している」との指摘が相次いだため、政府は2021年11月、遅滞償金の適用基準を改善し、防衛事業の特性が反映された別の法律の策定を急いでいる。
(c)news1