2024 年 11月 24日 (日)
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韓国大統領選、勝負どころは「MZ世代」の動向

社会問題に声を上げる青年たち©news1

40年以上にわたり「586世代」が君臨してきた韓国政治に「MZ世代」という新興勢力が台頭し、世代交代の風が吹いている。大統領選候補は今、仮想空間でオンライン遊説をしたり、赤色のフード付きトレーナーを着て繁華街を訪れたり、「MZ世代」の支持を得ようと必死だ。

◇幕を下ろす586世代

MZ世代は「集団化」を通じて政治勢力に生まれ変わった。この世代は、202年4月の総選挙で与党「共に民主党」に集団で投票し、政治的な影響力を見せつけた。当時、出口調査で20代の56.4%、30代の61.1%が同党に投票した。

青年世代は昨年4月7日の再選挙・補欠選挙を機に、勢力化に本腰を入れた。当時、ソウル市長補欠選で20代55.3%、30代56.5%が、保守系最大野党「国民の力」のオ・セフン(呉世勲)氏に票を投じた。オ氏は得票率57.50%で、民主党のパク・ヨンソン(朴映宣)氏(39.18%)を18.32ポイント引き離して圧勝した。その1年前、政権与党に票を入れたMZ世代が、この時は野党候補に支持を変え、選挙結果が覆された。

MZ世代シンドロームは2021年を通して政界を揺るがした。

再・補欠選挙の2カ月後の6月11日、「国民の力」でイ・ジュンソク(李俊錫)氏が代表に選出されたのがこの始まりだった。議員活動の経験が全くなく、当選したことのない青年を野党第1党代表に押し上げた原動力は、MZ世代の爆発的な支持率だった。ついに「国民の力」の熱烈な党員も「イ・ジュンソク旋風」に巻き込まれ、党内のムードが世論についていく「同調化現象」があらわれたりした。

若者たちと対話するイ・ジェミョン(李在明)氏©news1

MZ世代は、大統領選の政局に変えた。与野党の党内選挙真っ最中だった2021年9月、20~40代の約11万人が「国民の力」への入党ラッシュを起こすという事態が起きた。全党大会(6月)前の4カ月と比較すると、20代党員は8倍、30代は7.5倍急増するという保守政党史上類を見ない記録となった。

党内選挙で「ムヤホン・シンドローム」を起こし、青年層の最も高い支持を受けたホン・ジュンピョ(洪準杓)議員は、党内選挙で脱落、MZ世代のプラットフォーム「青年の夢」を作って独自路線を構築している。

政界は、MZ世代が次世代の主な政治集団としての地位を固めるという見通しを立てている。10年前の「コップの中の台風」に終わったアン・チョルス(安哲秀)氏(中道野党「国民の党」代表)のシンドロームは、特定の政治家が理想を提示してMZ世代の支持を引き出す「アップダウン」方式だった。だが、現在はMZ世代が逆に、特定の政党や候補を押し上げて政治的目標を果たす「ボトムアップ」方式に180度変わった。

ある政治学者はこう分析する。

「586世代が1980年代、軍事政権の独裁に反発して民主化闘争に出た階層だとすれば、MZ世代は2000年代に不動産と雇用問題から来る絶望感から政治的闘争を始めた階層。586世代が40年間享受してきた主流勢力の地位が、MZ世代にとってかわるという転換期の局面にある」

実際、韓国経済研究院が昨年11月に発表した若者層の上半期の悲惨指数は27.2と、2015年の集計以降最高値を更新した。

◇MZ世代の支持はどこへ

今年3月9日の大統領選の勝負どころも「MZ世代」だ。

昨年末、「国民の力」の大統領候補、ユン・ソンヨル(尹錫悦)前検察総長と与党「共に民主党」の大統領候補のイ・ジェミョン(李在明)氏の「支持率の逆転現象」を引き起こした世代は青年層だった。20~30代の支持がユン氏から引き潮のように離れて、その支持率は20%台に落ち込み、イ氏が形勢を覆して大きく引き離した。

世論調査会社4社が先月27~29日に実施した全国指標調査(NBS)によると、イ氏39%、ユン氏28%で、その差は11ポイントまで広がった。与野党の大統領選候補確定後、NBSの調査以来、イ氏の支持率は最高値、ユン氏は最低値だ。

注目すべき点は「年齢別支持率」の変化だ。20代はイ氏26%、ユン氏10%、30代はイ氏42%、ユン氏18%だった。国民の力の候補者選出直後のNBS調査(11月2週目)で、20代はイ氏24%、ユン氏22%、30代はイ氏35%、ユン氏28%だったのに比べ、青年層がユン氏に背を向けたため、支持率が急落したことになる。

青年作家の特別展を観覧するユン・ソンヨル(尹錫悦)氏©news1

与野党は、終盤まで青年層攻略に死活をかけるが、票の行方は依然、はっきりしない。ユン氏から離れた若い世代が、イ氏ではなく第3地帯の候補や無党派層に流れる点は、MZ世代が簡単には票を決めないということを裏付けている。長期的には、韓国政治の根幹を理念・地域中心から国民の生活中心につくりかえるという大掛かりな革新が必要だという指摘も出ている。

586世代は、経済的豊かさの中で理念や思想、人権に関心を持っていた時代を生きた。これに対し、MZ世代は極度に個人化された社会を生き、大義名分よりも経済的不平等と機会の不公正に憤っている。

世論調査に詳しい「インサイト・ケイ研究所」のペ・ジョンチャン所長は次のように分析する。

「キム・デジュン(金大中)政権までは全羅道(チョルラド)か慶尚道(キョンサンド)かという地域の論理で分かれ、ノ・ムヒョン(盧武鉉)政権からムン・ジェイン(文在寅)政権では、保守か進歩かで票が分かれ、理念による選挙戦が通用した。だが(1980~1995年生まれの)ミレニアル世代になると、既存の政治論理が通じないという新たな局面を迎えている」

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