
韓国政府が進める原子力推進潜水艦(原潜)計画に関し、大統領府の関係者は11月7日、原子炉などの主要推進システムを含めて「すべて国内で建造する」ことを前提としていると明らかにした。米国からは核燃料の供給のみを受け、技術的には韓国が独自に原潜を建造できる水準にあるという。
大統領府の説明によれば、韓国は既に小型モジュール炉(SMR)を含む原子炉を独自開発する能力を備えており、それに適した濃縮ウランの供給を米国から受けるだけで原潜の建造が可能だという。政府は2020年代後半に建造段階へ入り、2030年代半ばから後半には先導艦の完成を見込んでいる。
韓国は2003年、ノ・ムヒョン(盧武鉉)政権時代に海軍主導で始まった「362事業団」から原潜開発に取り組んできた。当初は国防科学研究所(ADD)や韓国原子力研究院などが小型原子炉の設計に関与していたが、2004年に事業団は解散。以後も軍や防衛産業界は研究開発を継続し、パク・クネ(朴槿恵)、ムン・ジェイン(文在寅)両政権下でも取り組みが進められた。
「国内建造」が現実的との立場を強めている。トランプ米大統領が建造場所として指摘したフィリー造船所(米国)は商船建造を主とした施設で、原潜建造には大規模なインフラ整備が必要とされるため、韓国軍が「米国製原潜」を輸入するような構図にもなりかねないという懸念がある。
ウィ・ソンラク(魏聖洛)国家安保室長は11月6日、国会運営委員会で「原潜は韓国で建造するという認識だ」と明言。アン・ギュベク(安圭伯)国防相も5日の国防委員会で「30年以上の技術と研究の蓄積があるため、国内建造が妥当だ」と発言した。
ただ、米政権内では原潜に対する意見の食い違いも生じている。ヘグセス米国防長官が4日の訪韓時に「積極支援」を表明した一方で、エネルギー省や商務省では異なる立場があるとされている。今後、韓米間の実務協議では駆け引きが続く可能性がある。
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