2025 年 1月 15日 (水)
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韓国大統領官邸、1カ月間続いた賛否の集会…付近住民ら「騒音で極度のストレス」

15日、大統領官邸付近で歓喜の声をあげる集会参加者ら(c)NEWSIS

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が逮捕されるまでの1カ月以上の間、ソウル市龍山区漢南洞一帯は昼夜を問わず集会による騒音に覆われていた。住民や学生らは、居住と私生活の自由、学習権が侵害されたと訴えている。

この1カ月間、NEWSISの取材班が接触した漢南洞の住民、商店主、学生らは精神的な苦痛を訴えていた。集会から聞こえる大音量の歌声や太鼓の音だけでなく、集会参加者によるヘイトスピーチも続いたためだ。

特にユン大統領に対する逮捕状が発付された後は、大統領擁護を訴える集会と、逮捕を求める集会が徹夜で開かれ、逮捕が差し迫るにつれて集会は過激化し、罵声や怒声が飛び交う事態となった。

2回目の逮捕状が執行された15日午前9時ごろ、漢南洞は騒然としていた。

保守系集会に参加した高齢女性が地面に座り込んで号泣し、中年女性は泣きながら警察に詰め寄る一方で、他の参加者がそれを制止する場面も見られた。

14日午前には、官邸の正門前で保守系ユーチューバーが叫び、それを進歩系ユーチューバーが警察に通報するという出来事があった。同日午後には、ユン大統領の支持者と反対者が、それぞれ与野党の指導者を非難し合いながら口論を繰り広げる場面もあった。

漢南洞の住民や商店主らは「日常が崩壊した」と語る。官邸近くでカフェを営む業者は「騒音による極度のストレスと神経過敏で夜もよく眠れない。デモ参加者らは、集会や結社の自由がすべてを圧倒すると思い込んでいるが、実際にはそうではない。集会で無法や超越的な自由を享受している人々に何を言っても通じないだろうが、トイレの無断使用や暴力的な発言は控えてほしい」と訴えた。

10日、ソウル市龍山区の漢南小学校沿道の塀に設置された巨大な文字板(c)NEWSIS

また、集会は漢南小学校の児童らが教育を受ける権利も侵害している。集会の騒音が教室にまで届き、学習の妨げになった。さらに、校門前に一部の集会参加者が集まるなど、安全面の問題も指摘され、放課後授業が一時中断される事態に至ったが、その後再開されている。

ある児童(11)は「怖い。教室でも音が聞こえて、友達がうるさいと言っていた」と話した。その母親(43)は「子どもたちは聞いていないようにみえても聞こえている。悪い言葉や罵声が多くて心配だ。住民も苦しんでいる。友人のお母さんが何度も通報したが無駄だった」と打ち明けた。

現行の「集会およびデモに関する法律」第14条によると、集会やデモの主催者は拡声器、太鼓、銅鑼などの機器を用いて、基準を超える他人に深刻な被害を与える騒音を発生させてはならないと規定されている。

同法に明記された騒音基準は、午前7時から日没前までの間、住宅地や学校、総合病院において「等価騒音レベル」は60デシベル以下、最大騒音レベルは80デシベル以下でなければならないとされている。「等価騒音レベル」は測定時間中に変動する騒音の平均値を指す。しかし、官邸付近で開かれた集会はこの基準を守っていなかった。

専門家は、他人に被害を与える集会には対処できるとしつつも、限界を指摘している。ある法律の専門家は「どんなに規定があっても、近隣住民にとっては迷惑であることは間違いない」と述べた。拡声器などは没収できるほか、公共の秩序に直接的な脅威を与えることが明白な集会は解散させることができるという。この専門家は「小学校周辺のデモは学習権の侵害となるため、校長ら管理者が解散を要請すれば解散させられる」と指摘した。

ただ、そもそもデモや集会の目的が周囲に影響を与えて自分の主張を強く伝えることにあるため、専門家は「どのような形であれ、周囲に被害が生じるのは避けられず、現実的に解散が難しい場合が多い」とも伝えた。

(c)NEWSIS

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