2025 年 1月 9日 (木)
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韓国大統領夫妻は「ペット11匹の親」 [KWレポート] 犬肉は過ぎ行く (3)

昨年12月24日、引退する盲導犬セロムとの記念撮影に臨むユン大統領夫妻(写真=大統領室提供)(c)NEWSIS

「セロムのお父さん、そしてマリー、サニーのお父さん、トリーのお父さん、ユン・ソンニョル(尹錫悦)です。子どもたちのお母さんキム・ゴニ(金建希)です」

ユン大統領夫妻が先月28日、SBS「TV動物農場」に出演し、自己紹介で述べた言葉だ。実際、2人は犬猫計11匹のペットを飼う。ユン大統領の「動物愛」は歴代大統領でも屈指だ。過去の大統領の多くが「ファーストドッグ(大統領の犬公)」を育てたが、自らをその「父親」とまで、言うようなことはなかった。

妻キム・ゴニ氏は、結婚前から20年近く、捨て犬や捨て猫の救助、支援を続けてきた。これはユン氏の大統領就任後も続いている。

こうした大統領夫妻のペット愛が改めて注目されたのは今年4月、キム氏が「犬食廃止」に言及してからだ。当時、キム氏は動物保護団体の関係者らとの昼食会で「個人の犬食を大統領任期中に廃止するよう努力する」と約束したという。

国会で激しい対立を続けている与野党は、久しぶりに大同団結している。

「共に民主党」のキム・ミンソク(金民錫)政策委議長が「犬食騒ぎを終わらせる」とし、特別法発議を約束した。与党では、テ・ヨンホ(太永浩)議員が同趣旨の動物保護法改正案を発議した。

◇愛護団体「キム氏の存在、大きい」

ユン大統領は昨年の大統領選候補時代、犬食反対の立場を明らかにしており、国政課題に「人と動物が共に幸せに暮らせる健全なパートナー文化の造成」を盛り込んだ。

就任後、具体的な言及はなかったが、キム氏が積極的に声を上げると、政界が直ちに呼応した。動物保護強化議論は主にリベラル陣営の議題だったが、保守陣営の大統領夫妻の動きが、与野党合意を導き出した形だ。

犬の食用禁止のために、懸命に運動を続けてきた動物団体の関係者たちは期待感を抱く。ユン大統領の意思が強く、影響を及ぼすのではないかとみられるためだ。

韓国の動物愛護団体「動物権行動KARA」のチョン・ジンギョン代表は「キム氏は『犬の食用は常識的に間違っており、廃止すべきではないか』と主張しているが、必ず廃止すると断言したわけではない。ただ、常識や経験がない大統領より、実際に動物を飼った経験から、犬の食用が韓国の文化水準にふさわしくないと感じているキム氏の存在は大きい」とみる。

◇時代の変化に乗れるか

ただ、半信半疑の人もいる。

初めて捨て犬を養子に迎えたムン・ジェイン(文在寅)前大統領も、犬の食用問題では、結局、成果を出せなかった。この問題は利害関係が強いためだ。

ムン氏は大統領時代の2021年9月、「犬の食用禁止を慎重に検討する時ではないか」と指示し、「物」と規定された動物の法的地位を高めるための民法改正案が同年11月に国会で発議された。だが、議論は進まなかった。

ユン大統領が昨年11月25日、与党指導部晩餐会で関連の改正案を処理してほしいと要請し、4月4日には当時の国民の力のチュ・ホヨン(朱豪英)院内代表と共に民主党のパク・ホングン(朴洪根)院内代表が臨時国会で処理することにした。

だが、不発に終わった。市民団体「動物自由連帯」のチョ・ヒギョン代表は「大統領がペットに関心が高いことは、行政全般に影響を及ぼすと考える。だが、法案通過は別問題のようだ」と述べた。

ただ、ペットを所有する人が1500万人もいる時代を迎え、犬の食用への韓国社会の認識は急速に変わっている。2020年末時点で、韓国でペットを飼う世帯は、29.7%の604万世帯に達する。全人口の4人に1人以上の1448万人がペットと一緒に過ごしている。「犬食用問題議論のための委員会」が昨年3月22~24日、全国の成人1514人を対象にした意識調査の結果、回答者の55.8%は「韓国社会は犬食をやめるべきだ」と答えた。

動物保護を訴える市民団体「韓国動物保護連合」のイ・ウォンボク代表は「ユン大統領夫妻が単なる愛犬家としての立場を越え、動物虐待防止や犬食廃止などに法律・制度面で成果を出すことを期待している」と話した。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

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