現場ルポ
ソウルの韓国大統領執務室に近い龍山(ヨンサン)区・三角地(サムガクチ)駅付近や、鐘路(チョンノ)区・光化門(クァンファムン)広場で最近、集会やデモが繰り返されている。近隣の商店主らから「売り上げに影響が出る」と悲鳴が上がっている。
三角地駅付近で5年間カフェを経営している店主は、大統領室が龍山に移転してから毎朝、警察庁のホームページで集会・デモ日程を確認している。デモが開かれる日は客が急減し、売り上げに打撃が大きいためだ。デモ隊がカフェの近くまで来ると、せっかく入った客も出ていってしまう。カフェのドアの前の床には「入ってくるな」という文句まで書いて貼り付けた。
店主は「デモのために苦労している点を言い出したら切りがない。新型コロナウイルスより、デモによる売り上げへの打撃が大きい。人が多くなると、商売がうまくいくのでは、と言われるが、たいていトイレを使おうとするだけで、飲み物の注文はしない」と不満を口にした。
龍山の大統領執務室近くと、光化門(クァンファムン)一帯で連日集会が続き、近隣の商店や住民らが苦痛を訴えている。
三角地駅の近くの印刷所の事業主の反応も同様だった。「(集会とデモのため)大変な目にあっている。今年7月にここに来たが、これほどひどいとは思わなかった」と、ため息をついた。
集会やデモが開かれれば、印刷所の近隣にもステージ舞台が設置される。高性能スピーカーのため、オフィスでは電話さえできない。事業主は「光化門は広いが、ここはドア一つ隔てた向こうでデモをやっている」と苦境を述べた。印刷所の従業員は「頭が痛くて、喉も痛い」と訴えた。事業主は印刷所を移転することも考えている。
近くで小物ショップを営む男性も、店を移転するかどうか深刻に悩んでいる。男性は「保守団体と進歩団体がそれぞれ対抗して集会を開く日には商売をやめなければならない。集会やデモが終わった後、道端にたばこの吸殻とゴミがいっぱいだ。店の前にはプラスチックで作った灰皿まで出した」と打ち明けた。
ソウル・光化門と市庁駅近隣も、以前より減ったものの、依然、集会やデモが頻繁な場所だ。
ここの商店主たちも同様に苦痛を訴える。市庁駅近くの服屋の経営者は「今月19日にも集会に参加した人たちが店の前にずらりと座り、お客さんがほとんど来なかった」と話した。
徳寿宮(トクスグン)近くで20年以上食堂を営む店主は「政治的な立場が違うお客さん同士が喧嘩して警察を呼んだこともある。お客さんが食事をやめて、出て行ったこともある」と伝えた。
タクシーもソウル都心で開かれる集会に悩まされている。あるタクシー運転手は「集会が開かれる日にはソウル都心には近づかない。車が渋滞に巻き込まれ、時間もかかるから」という。
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