2025 年 2月 19日 (水)
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韓国大手企業、対米「ロビー」に巨額の資金投入…「トランプ政権の恩恵」と「関税爆弾リスク」で明暗

就任式で署名するトランプ大統領=ホワイトハウスYouTube(c)KOREA WAVE

米国のロビー資金情報を提供する非営利団体「オープンシークレット」によると、韓国のサムスンや現代自動車、SK、LG、ハンファ、ポスコ、斗山グループなど主要企業が昨年執行したロビー資金の総額は、2155万ドル(約32億8751万円)だった。韓国の主要企業は昨年の米大統領選を前に過去最高レベルのロビー資金を投入したかたちだ。ただ、一部企業はトランプ政権の恩恵を受けるが、大半はトランプ関税などの通商リスクに直面している。

最も多くの資金を支出したのはサムスングループで、698万ドルを支出し、サムスン電子やサムスンSDIの系列会社を通じてロビー活動を展開した。サムスン電子はロビイストの数も64人と、主要グループの中で最も多く雇用している。

SKグループも昨年、ロビー資金を前年より29%増額し、対米リスクの解消に積極的に取り組んだ。4大グループの中ではサムスングループに次ぐ559万ドルを支出した。SKハイニクスはほぼ毎年ロビー活動に参加しており、状況に応じてSKバッテリーアメリカやSKイノベーションなども含まれることがあった。

LGグループは昨年、4大グループの中で額は最も少なかったが、前年より若干増額した。持株会社であるLGを通じてLG化学とLGエナジーソリューションを支援し、LG電子は別途ロビーを実施している。LGグループ系列会社のロビー資金を合計すると、昨年は114万ドルだった。LGがSKイノベーションとバッテリー紛争を繰り広げていた2021年の172.3万ドルより少ない規模となった。

現代自動車グループは、ここ数年間ロビー資金を300万ドル台で維持している。現代自動車、現代製鉄、起亜自動車など系列会社のために昨年328万ドルを支出した。今年第1四半期の統計はまだ出ていないが、トランプ大統領の就任式に年間ロビー資金の約3分の1にあたる100万ドルを寄付するなど、友好関係を築くために尽力している。

◇数百億ウォンを投じた4大グループ、関税リスクに直面

では、ロビーに投資した効果はあったのだろうか。4大グループは昨年、公式ロビー活動に1699万ドルを投入したものの、現在はトランプ政権の関税攻勢により、不安定な状況に置かれている。

トランプ大統領は最近、鉄鋼とアルミニウム製品に25%の関税を課すと発表した。さらに、自動車や半導体などにも関税を拡大する方針を示した。韓国企業の対米輸出の大部分を占める自動車や半導体に関税が適用されれば、国内企業への打撃は避けられない。

一方、ハンファグループはロビーの恩恵を受けている。過去3年間、ロビー資金とロビイストの数を着実に増やしてきたハンファグループは、トランプ政権の政策と相性が良い。ハンファグループの主力事業である造船、防衛産業、太陽光発電などは、トランプ政権の恩恵を受けると期待される業種だからだ。

斗山グループとポスコグループは比較的ロビー活動に消極的だ。昨年の大統領選を前に、ロビー資金やロビイストの数を増やすことはなかった。

ポスコグループは3年連続で年間ロビー資金を48万ドルとしており、昨年のロビイスト数は15人だった。

斗山グループは斗山ボブキャットを通じて昨年17万ドルをロビー活動に使用し、ロビイスト数も9人のまま維持している。

ただし、ポスコは今回の鉄鋼関税引き上げによって打撃を受けると予想される。現代自動車を通じてロビー資金を支出してきた現代製鉄は、最終的に米国での製鉄所建設を検討している。

◇韓国の国政空白、米国第一主義の強化、ロビーは避けられず

通商専門家らは、企業が公式ロビー活動を展開するのは現在の状況では自衛策に重きを置かざるをえないとみている。政府レベルでの支援が不十分なため、最終的には企業が自ら動くしかないためだ。政府としても対米ロビーは可能だが、予算が不足している。

昨年末から国政が混乱し、リーダーシップが空白状態になったことから、企業は独自に民間経済使節団を組織し、対米アウトリーチ(対外協力)に乗り出している。

対外経済政策研究院北米・欧州チーム長のカン・グサン氏は「今年もロビー活動は避けられない状況だ。関税問題も、利用可能なあらゆるルートを総動員して最大限の情報を確保しなければ対応が難しい。産業通商資源省でも最近の動向を把握するための努力を続けているが、政策的支援が不足している場合、企業が直接動いてロビーするしかない」と説明した。

大韓商工会議所産業政策チーム長のキム・ムンテ氏も「米国では現地進出企業による雇用創出を非常に重視しているため、その地域の下院議員をターゲットにすることが重要だ。政策決定プロセスで下院議員の影響力が高まっているため、国内企業が現地で創出する経済効果を世論に訴えるためにもロビー活動が必要だ」と述べた。

(c)KOREA WAVE

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