
米国におけるAIの覇権は一朝一夕に達成されたものではない。Nature誌によれば、米国は少なくとも2012年以降に人工ニューラルネットワークやディープラーニングの研究を蓄積し、2022年にはGPTの誕生へとつながった。
韓国国政府は「3年以内に米中との格差を大幅に縮め、AI三強入りを目指す」と謳っている。しかし、選択と集中なしに10年以上の研究成果に追い付くことは現実的ではない。
類似の後発国であった中国は、巨額の予算と人材育成によって「ディープシーク」などAI競争力を発揮している。韓国の現在の資源ではそれと同等の戦いを進めることは難しい。
ゆえに、我々は今すぐできることに注力すべきである。
韓国政府が推進する「K-ファウンデーション・モデル」は、3年以内に完成する課題ではない。安易に急いで開発すれば、時代に即さないモデルに終わるだけである。それは、卓越性を目指した長期的かつ集団的研究で取り組むべき課題だ。
一方で「速勝」が可能なのは金融・製造など産業データに特化した「バーティカルAI」だと業界は見ている。LG AI研究院の「EXAONE」開発を主導したペ・ギョンフン氏も、これを強調している
バーティカルAIは「K-ファウンデーション・モデル」である必要はない。十分なセキュリティが確保されるならば、外資のオープンソースを用いるのが速攻策として合理的である。
軽視できないバーティカルAIだが、向こう3年間のゴールデンタイムには課題が山積している。
まず、データ学習を妨げる規制を見直す必要がある。多くの企業が個人情報保護などの規制に直面し、質の高いデータ学習に苦労している。
大学・企業が共に利用できるコンピューティングインフラの整備も加速すべきだ。主要国と比べてGPUが不足しており、最適化の研究も課題となっている。
戦略技術の国産化にも意味はある。しかし、合理的なツートラック戦略で進めなければ、「無駄な予算を投じることのない韓国型AI」の実現は難しい。【news1 ユン・ジュヨン記者】
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