
韓国国家情報院は、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の長子が息子であり、「障害を抱えている」や「海外に留学している」といった各種の噂を初めて公式に否定した。情報当局は娘を後継者に確定したわけではないが、今回の判断によって当面は娘が有力な後継者との見方が一段と強まるとみられる。
国家情報院は9月11日、国会情報委員会の非公開会議で「北朝鮮は娘に海外経験を積ませ、有力な後継者としての立場を固めさせている」と報告した。情報委の幹事である韓国与党「共に民主党」のパク・ソヌォン議員と、最大野党「国民の力」のイ・ソングォン議員が明らかにした。
国情院は「娘を後継者として位置付け、その『革命の物語』を完成させていく過程の一環として中国訪問に同行させた」とし、「訪中の目的は基本的に世襲を念頭に置いた革命的な物語の確立にあると分析している」と説明したという。
イ・ソングォン議員によると、委員らが娘以外の子どもについて質問したところ、国家情報院は「キム総書記の他の子どもが障害を持っているとか留学中だとかいう噂はあるが、有力とは見ていない。特に留学は隠すことができず、可能性は低いと判断している」と答えたという。
これは、キム総書記に娘以外の息子が存在することは認めつつも、後継者かどうかは判断しにくいという分析と解釈できる。ムン・ジェイン(文在寅)政権期に国家情報院長を務めたパク・ジウォン議員は最近、キム総書記に息子が存在し、秘密裏に留学中であるため公開されていないと推測したこともある。
国家情報院は2023年に国会へ「キム総書記の長子は息子と推定される」と報告していた。このため専門家の中には、娘の登場は真の後継者である息子の存在を隠すための「煙幕作戦」に過ぎないという主張もあった。だが、今回の報告では2年前の判断を維持しているかどうかは明らかにされなかった。
それでも今回の見解により、娘が後継者に内定しているとの観測はさらに力を得るだろう。一方で、キム総書記がまだ42歳と若く、娘も12~13歳程度と幼いこと、また党内で公式の肩書きを与えられていないことから、後継者ではないという見方も根強く残っている。
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