韓国・済州航空機が務安国際空港で着陸に失敗し179人が死亡した事故を受け、短い滑走路や鳥衝突対策の不備が問題視されている。他の国内空港についても、安全対策の再点検が必要との声が上がっている。
事故が発生した務安国際空港の滑走路は長さ2.8キロメートルで、仁川国際空港(3.7キロメートル)や金浦国際空港(3.6キロメートル)よりも短い。このため「務安空港の滑走路が長ければ機体が胴体着陸後に停止できた可能性がある」との指摘がある。同空港では滑走路を3.16キロメートルに延長する工事が進行中だったが、未完成の状態で今回の惨事が起きた。
さらに、2030年開港予定の白翎空港(滑走路1.2キロメートル)や2029年開港予定のセマングム国際空港(滑走路2.5キロメートル)の計画についても「滑走路が短い」との批判が出ている。特にセマングム国際空港については「最低でも3キロメートル以上に延長すべきだ」との声が、全羅北道の議員から挙がっている。韓国最短滑走路の蔚山空港(滑走路2キロメートル)についても、事故リスクが高いとの懸念が指摘されている。
鳥衝突への対応も、国内空港の重大な課題として浮上している。大邱国際空港では、渡り鳥の飛来地に隣接していることから、25人の鳥駆除員と30台の爆音装置を配備している。だが、他の空港では十分な対応が取られていない。
白翎空港では鳥衝突防止のための研究が進められていたが、国土交通省との協議で中止された経緯がある。その後、環境影響評価に関連研究が組み込まれ、2025年に結果が出る予定だ。
2019年以降、鳥衝突事故の発生件数が最も多いのは金海国際空港で147件、次いで金浦国際空港140件、済州国際空港119件、大邱国際空港38件となっている。また、務安国際空港は1便あたりの鳥衝突発生率が0.09%で、国内最高値を記録している。
蔚山空港では、鳥衝突予防の専任スタッフがわずか4人で、設備も十分ではない。専門家は、鳥衝突防止のためにレーダーや赤外線検知器の設置、さらに駆除スタッフの増員が必要だと指摘する。加えて、空港周辺の渡り鳥飛来地や農地への環境影響評価を強化し、管理体制を見直すべきとの声も高まっている。
航空専門家は「短い滑走路と鳥衝突対策の不備は、航空機事故の主要な原因だ」と述べ、国土交通省や地方自治体に対し、滑走路設計や安全対策の再検討を求めている。
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