韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が「非常戒厳」宣布に関連し、拘束前被疑者尋問(令状実質審査)で「非常立法機構に関する文書がキム・ヨンヒョン(金龍顕)国防相(当時)によるものか、自分が作成したものか記憶がない」と述べたことが明らかになった。
ソウル西部地裁で19日開かれた令状実質審査で、チャ・ウンギョン部長判事はユン大統領に対し、「非常立法機構とは具体的に何を指し、創設の意図は何か」と質問した。この質問は、4時間50分にわたる審査の中で唯一、チャ判事がユン大統領本人に投げかけたものだった。
ユン大統領は「非常立法機関を本気で機能させるつもりはなかった。本当に戒厳をするつもりだったのなら、このように適当に布告して、国会解散要求案が可決されたといって素直に従うことはなかっただろう」と主張した。だが、チャ判事から再び「非常立法機構が国会の機能を代行するものか」「具体的な性格は何か」と問われると、ユン大統領は「正確には覚えていない」と繰り返したという。
キム・ヨンヒョン氏の起訴状によると、ユン大統領は戒厳令発令後、チェ・サンモク(崔相穆)経済副首相兼企画財政相に対し、「予備費を迅速に確保して報告すること」「国会関連の補助金・支援金・給与などの支出を完全に遮断すること」「国家非常立法機構に関する予算を編成すること」などを指示した文書を渡したとされる。ユン大統領はこの文書の内容についても「記憶が曖昧」として、具体的な説明を避けた。
さらに、軍の指揮部が「銃を使用してでも国会議員を引きずり出せ」という指示をユン大統領から受けたと証言したことについては「捜査経験に基づけば、これらの証言をそのまま信じるのは難しい」と述べたという。
審査は19日午前3時ごろに終了し、地裁は「証拠隠滅の恐れ」を理由にユン大統領の拘束を決定した。
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