
韓国で医大定員増を巡る政府と医療界の対立が続く中、政府は来年度の医大募集人員を従来通りの3058人に戻した。だが、これは「白旗」との見方も多く、医療現場に信頼の喪失と混乱が残されたという声が強い。
今回の事態で、医師と患者の信頼関係は崩れ、外来診療時に患者が録音や録画をする例も急増している。治療や手術の延期が相次ぎ、特に重症患者に影響が出ている。専門医試験の合格者も必須診療科では極端に少なく、内科や外科などは昨年の1割以下に落ち込んだ。
医学生の授業拒否は長期化しており、2024~2026年の学生が1年生として同時に集中する“トリプル重複”が懸念されている。教授陣や教育施設の対応能力は限界に達しつつあり、教育の質や患者の安全にも影響が及ぶ恐れがある。
医療現場では空席を診療補助看護師(PA)らで補っているが、これが研修医との職域対立を招く可能性もある。医療界では持続可能な制度構築のため、要求事項の整理と現実的な交渉戦略の構築が求められている。
一部では、まず研修環境の改善を優先する方針が示されており、大韓医師協会も「今は少しでも前進を図るべき時」として政府に責任ある対応を求めている。
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