「兵役逃れ」を理由に22年間、韓国入国が禁止されている韓国系米国人の歌手兼俳優ユ・スンジュン(米国名スティーヴン・ユー)さんに対し、韓国政府が再びビザ発給を拒否していたことがわかった。ビザ発給拒否は3回目。ユ・スンジュンさんはこの取消を求める訴訟を改めて提起した。
ユ・スンジュンさんの代理人によると、駐ロサンゼルス総領事は今年6月18日付で、ユ・スンジュンさんが同2月に申請したビザの発給を拒否したと通告した。拒否理由は「ユ・スンジュンさんの行為は、韓国の安全保障、秩序維持、公共の福祉、外交関係を損なう恐れがある」というものだった。
代理人は「行政当局が司法の確定判決を2度も無視し、違法な処分を続けている。ユ・スンジュンさんに対する人権侵害であり、法治主義を損なう深刻な問題」と反論した。さらに、司法の判断を尊重しない行政機関に対して懸念を表明した。
ユ・スンジュンさんは兵役義務を逃れるため米国市民権を得たことで、2002年に入国が制限された。在外同胞ビザでの入国を試みたが、駐ロサンゼルス総領事が発給を拒否。このため2015年、入国ビザとパスポートの発給を拒否した韓国政府の処分取り消しを求めて訴訟を起こし、最高裁で勝訴が確定した。それでもビザ発給は実現していない。
最高裁判決にもかかわらず、ユ・スンジュンさんに対する否定的な世論が根強い理由は、ユ・スンジュンさんが兵役義務を回避したことによる「裏切り感」が依然として残っているからだ。1997年にデビューし、ヒット曲を連発したユ・スンジュンさんは、当時、「まっとうな青年」としてのイメージで支持を集めていた。だが、2002年に兵役を前に突然、韓国国籍を放棄し、国外に移住したことで、国内の反感を買った。それ以来、韓国への入国は禁止されており、現在に至っている。
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