
外国人観光客の増加が続くなか、韓国の免税店業界は来店者数と売り上げが減少し、業績低迷に直面している。背景には、購買力の高かった中高年の団体旅行客が減り、支出の少ない若年層の個人旅行客が主流となったことがある。
2025年2月の訪韓外国人は前年同月比10.5%増の113万8000人だったが、免税店訪問者は1.7%減の210万人と、2023年9月以降で最少を記録。0~39歳の観光客は64万人と2019年比で5.2%増加し、40~79歳は6%減少した。さらに、1人あたりの平均支出は2020年の3885ドルから2023年は2152ドルに減り、観光消費の質的変化が浮き彫りとなった。
個人旅行者の増加も顕著で、済州島では昨年初めて個人客の割合が90%を超えた。その結果、免税店ではなく、ソウル・聖水洞や弘大など韓国らしさを打ち出したローカルショップに観光客が流れている。実際、オリーブヤングN聖水店の売り上げの7割が海外客によるもので、ダイソーでも外国人のカード決済が急増した。
韓国人の免税店利用も減少しており、今年2月は出国者数が前年比4.5%増の262万6000人だったが、免税店利用者は4.9%減の144万4000人にとどまった。不況による消費意欲の低下が影響している。
2024年の営業損失は主要4社合計で2776億ウォンに達し、店舗閉鎖や希望退職が進む。現代免税店は4月に東大門店を閉鎖、新世界は釜山店を撤退、ロッテは売場縮小と釜山店の規模を縮小した。
業界は今後、団体観光への依存を見直し、企業の報奨旅行や国際会議などのMICE需要、個人観光客向けのマーケティング強化にかじを切る構え。関係者は、中国人観光客の購買力に期待を寄せ、今後のビザ免除措置による回復を見込んでいる。
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