
経営難に直面した韓国企業の社員らが、営業秘密を持ち出して中国企業へと大量移籍する事件が相次いでいる。韓国検察が3年間で技術流出関連の容疑者226人を立件したことが明らかになった。
韓国最高検察庁科学捜査部によると、同部傘下の「技術流出犯罪捜査支援センター」が2022年9月に設置されて以降、2年8カ月の間に226人を立件、うち73人を拘束起訴した。さらに、流出により得た犯罪収益1238億ウォン相当を差し押さえ、回収したと発表した。
代表的な事例は次の通りだ。
1件目は、韓国の中小企業の役員および社員20人余りが、同社の営業秘密であるカメラモジュール検査装置の技術資料を持ち出して中国企業に集団で転職した事件。ソウル中央地検は今年1月、このうち6人を拘束起訴、10人を在宅起訴した。
2件目は、ディスプレイ製造企業に勤務していた社員が国家核心技術と営業秘密を外部に漏えいした後、当初転職予定だった中国企業とは別の“偽装企業”と雇用契約を結んで捜査を回避しようとした事案。ソウル東部地検は昨年11月、社員を拘束起訴している。
検察によると、技術流出犯罪は年々手口が巧妙化・多様化しており、近年は社員を偽装企業に雇用したり、法務相談を装って技術を抜き取る手法も登場している。
さらに、スマートフォンやPCのログ・メッセージ記録などのデジタル証拠を削除・廃棄し、あらかじめ虚偽供述を準備するなど、証拠隠滅の手法も高度化しているという。
検察は技術流出への対応を強化するため、全国の地方検察庁に専担部署を設置し、弁理士や理工系出身の検事を配置。戦略物資の不正輸出など国家核心技術が絡む事件に対応するため、担当部署を科学捜査部サイバー・技術犯罪捜査課へと再編する計画も明らかにした。
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