2025 年 10月 24日 (金)
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韓国人ら標的「カンボジア犯罪組織」の背後に中国資本…チャイナタウンを拠点に金融・不動産・オンライン詐欺で巨額利益

2025年10月19日、カンボジア・プノンペンのプリンスグループが運営するプリンス銀行ATM(c)news1

韓国人を含む外国人を標的とした誘拐、監禁、殺人事件がカンボジアで相次ぐなか、韓国政府は2025年10月中にも関連犯罪組織に対する金融制裁に乗り出す方針とみられる。制裁の対象としては、カンボジアの首都プノンペンに拠点を置く「プリンスグループ」と金融サービス企業「フイワングループ(Huione Group)」などが有力視されている。

現地取材によると、近年発生している就職詐欺や監禁事件の背後には、中国資本を背景に持つ犯罪組織が存在しているとされる。これらの組織は表向きには銀行、カジノ、ホテル、リゾートなどを展開する一方、裏では「ウェンチ」と呼ばれる犯罪拠点を構築。ボイスフィッシングやオンライン賭博、資金洗浄などを通じて莫大な利益を得ている。

プリンスグループ傘下の企業は、過去にオンライン詐欺の主導者として米国やイギリスから制裁を受けており、その本社周辺にはまるで中国の街を彷彿とさせる「チャイナタウン」が形成されている。このような犯罪組織の資金がカンボジア経済において一定の比重を占めているほか、政界や財界との結び付きも強く、一掃は困難とされている。

10月19日、プノンペンのダイヤモンド島にあるプリンスグループの持株会社「プリンスホールディンググループ」本社を訪ねたところ、建物外壁にはロゴの痕跡だけが残っていた。現在は不動産部門の「キングスマン(KINGSMEN)」が同所に入っていたが、職員は「他の系列会社のことは分からない」と話し、グループ全体が表舞台から姿を消していることがうかがえた。

キングスマンはソウル市江南区のテヘラン路にもオフィスを構えているが、正常には運営されていない模様だ。プリンスグループの陳志会長も消息不明となっている。

中国系資本がカンボジアで勢力を拡大する背景には、同国政府の過度な親中政策や海外資本依存型の成長戦略、不十分な規制体制、そして深刻な腐敗体質がある。米国平和研究所(USIP)は2024年5月の報告書で、カンボジアで発生したオンライン詐欺による2023年の収益が125億〜190億ドルに上り、これは同国GDPの半分を超える規模と試算している。

カンボジアに10年以上住む韓国人駐在員によると、習近平・中国国家主席による反腐敗運動の影響で、カジノなどの関連資金が中国本土からカンボジアへ流入したという。2017年以降、習主席の政権下で中国国内の反腐敗が強化され、その影響で関連組織が東南アジアへと拠点を移したとされる。

プノンペンのキングスマンから車で数分の「ゴールデンストリート」一帯には、中国人居住者が集まるチャイナタウンが形成されており、約2万平方メートルの敷地内に中国料理店、商店、両替所、美容室、クリニックなどが立ち並ぶ。現地の運転手は「この辺りの客はほとんど中国人で、カンボジア人はほとんど来ない」と語った。

また、プノンペン内の他の中国人密集地域には、プリンス銀行の支店が存在しており、現地の証言によると顧客の多くはカンボジアに滞在する中国人だという。プリンスグループに対する国際的な制裁が相次ぐなか、一部ではプリンス銀行からの大規模な預金引き出し、いわゆる「バンクラン」も発生していると伝えられたが、現地のATMは正常に稼働しており、混乱は見られなかった。

(c)news1

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