
中国系電子商取引プラットフォーム「テム(Temu)」が、韓国の個人情報保護法を多数違反していたことが発覚し、総額13億6900万ウォンの制裁金を科された。韓国国内の消費者情報を海外に無断で提供したうえ、利用者の退会手続きも不当に複雑だったとして、行政当局が厳重な是正措置を取った。
韓国個人情報保護委員会は14日、全体会議を開き、「テム」の運営会社である「WHALECO TECHNOLOGY」に対し8億7900万ウォンの過怠金と1760万ウォンの科料を、関連会社「ELEMENTARY INNOVATION」には4億9000万ウォンの過怠金を科すとともに、両社に是正命令および改善勧告を決定した。
調査によれば、テムは商品を日本や韓国、中国、シンガポールなどの倉庫に保管し、注文が入ると各地から発送する構造をとっている。この過程で購入者の個人情報を海外の業者に委託し保管させていたが、それを処理方針に明記せず、ユーザーにも通知していなかった。
現行法では、国外への個人情報委託や保管が契約履行に必要な場合でも、その旨を処理方針に明記し、利用者にメールなどで通知する義務がある。
今年2月に韓国で導入された「ローカル・トゥ・ローカル(L2L)」方式も処分対象に含まれた。これは韓国内の販売者と購入者を仲介するモデルで、テムは非対面登録のために身分証と顔動画を要求し、身分証に記載された住民登録番号まで収集していた。
しかし住民登録番号は、法的例外がない限り民間事業者による処理が禁止されている“特別管理”対象の個人情報だ。
テムはまた、退会手続きを7段階にするなど、利用者が権利を行使しにくい仕組みを設けていた。個人情報保護法では、会員登録などと同様に退会も簡便であるべきだと規定されている。
さらに、韓国の平均日利用者数が290万人に達しているにもかかわらず、国内に「代理人(データ管理責任者)」を設置していなかった点も問題視され、科料が追加された。これは日次で100万人以上の個人情報を扱う事業者に課される法的義務だ。
個人情報保護委員会は、テムが調査中に処理方針を修正し、国外委託先の開示や住民登録番号の廃棄など一定の是正措置を講じた点を考慮して一部減点処理したと説明。一方で、提出資料が不十分だった点は加重要因として評価したとした。
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