韓国・務安国際空港で発生した済州航空機の衝突事故で、コンクリートの土塁に衝突し衝撃がそのまま伝わったことや、飛行機がランディングポイントよりも手前に着陸して制動が十分でなかったことなどが、被害を拡大させた原因として指摘されている。
◇方位角施設
国土交通省などによると、務安国際空港の滑走路終端から約264m離れた場所に方位角施設(ローカライザー)が設置されている。この施設は航空機が滑走路に着陸する際、方位を計器で確認できるよう信号を送る装置だ。務安空港の場合、土塁の上にコンクリート基礎とアンテナで構成されている。
国土交通省は、この方位角施設が規定通りに設置されたものと暫定的に判断しているが、事故との関連性を精査するため追加で調査するという。国土交通省関係者は「方位角施設は空港ごとにさまざまな形式で設置されており、コンクリート構造物もあれば、積み上げた形もある」と指摘する。
この土塁が事故を拡大させたとの指摘も出ている。
航空業界のある関係者は「オーバーランに備え、ローカライザーは航空機が容易に突き抜けられるよう設計されるべきだ。仁川国際空港で発生したオーバーラン事故では、ローカライザーが容易に突き抜けられる構造であったため、人的被害はなかった」と語った。
◇着陸地点
着陸地点については、機体の残骸やスライディングの痕跡があり、さらに調査が必要だ。同関係者は「滑走路の3分の1地点と推定される。ランディングポイントより手前で着陸したようだが、事故当時19番方向の滑走路は2800mのうち2500mだけが使用可能な状態だった」としている。
◇特殊な泡
また胴体着陸時の摩擦を軽減し火災を予防するために使用される特殊な泡(フォーム)が十分に準備されていなかった点も残念な点として挙げられている。ただ、操縦士の非常事態宣言後、実際の着陸までの時間が非常に短かったこと、泡を散布すると機体が滑り、逆により大きな事故が懸念される可能性があったことなどが影響したと伝えられている。
◇全電源シャットダウン
一部では、全電源シャットダウンによりランディングギア(着陸装置)が作動せず、胴体着陸を試みたのではないかという疑問の声も出ている。同省関係者は「現時点では航空機の電源シャットダウンは確認されておらず、全般的な状況を調査しながら明らかにしていく」と述べるにとどめた。
政府は回収したブラックボックスを分析し、事故の原因などを究明する。
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