
韓国で注意欠如・多動症(ADHD)患者が急増し、治療薬メチルフェニデートの処方量が過去最多を記録した。2024年には処方数が9020万錠、処方患者数が33万7595人に達し、2020年比で2倍以上に増えた。
食品医薬品安全処の「医療用麻薬類取扱現況」によれば、メチルフェニデートの処方量は2020年3771万錠から2024年には9020万錠へと拡大し、年平均24.4%増加した。処方患者数も同期間に14万3471人から33万7595人へと年平均23.9%増を示した。
処方は学齢期の子どもや青少年で特に多い。10歳未満では2020年511万錠から2024年1312万錠へ、10代は同期間に3249万錠へ増加し、両層を合わせた処方量は4年間で2倍以上に膨れた。
一方、増加率が最も高かったのは30代で、2020年418万錠から2024年1487万錠へと拡大し、年平均37.3%の伸びを示した。20代は28.9%、40代は23.1%、50代は9%と続いた。60代以上では減少傾向がみられる。
こうした傾向は、2016年からADHD治療薬への健康保険適用が成人にまで拡大されたこと、また小児期の患者の約半数が成人期まで治療を必要とすることが背景にあるとみられる。
処方の季節的変動も確認されており、学期中は増加する一方、1~2月や8月に一時的に減少する。韓国医薬品安全管理院は、薬の副作用である食欲減退や成長抑制を緩和するため、主に休暇期間に服薬を中断することと関連があると分析した。
現在、食品医薬品安全処が承認しているADHD治療薬の代表はメチルフェニデートだ。2025年6月からは同成分が「医療用麻薬類投薬履歴確認」対象に含まれ、医師は処方前に患者の直近1年間の投薬履歴を確認することが求められるようになった。これは乱用を防ぎ、重複処方や過量投与を防止するための制度であり、必要に応じて処方中止も可能となっている。
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