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韓国・大田(テジョン)で、小学1年、キム・ハヌルさん(8)が刃物で襲われて死亡した事件を受け、容疑者の教員の精神健康管理と学校安全の強化を目的とした「ハヌル法」の立法議論が加速している。政府・与党は、精神疾患のリスクが高い教員への緊急措置や「疾患教員審議委員会」の法制化を含む「教育公務員法」改正を推進している。
新法案では、危険性のある教員の緊急分離措置や、精神健康専門家を含む緊急対応チームの派遣を義務化を求めている。また、審議委員会を「教員職務適格性審議委員会(仮称)」に改編し、休職措置や復職審査の強化が検討されている。
一方、教員の間では「病歴の公開が人権侵害になる」「受診を避けることで問題が悪化する」といった懸念が広がっている。全国教職員労働組合も「職権休職の乱用につながる恐れがある」と指摘し、「既存の審議委員会が機能してこなかった理由を検証すべきだ」と主張している。
ただ、問題のある教員を制限する法制化の必要性については一定の支持もある。韓国教員団体総連合会は「健全な精神と身体を持った教師が求められる社会的合意が形成された」とし、審議委員会の法的明文化を評価する声もある。
「ハヌル法」は学校の安全確保を目的とするが、精神疾患を持つ教員の人権保護とのバランスが課題となる。政府と教育界は、教員の精神健康と学校の安全を両立させる制度設計を求められている。
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