
韓国の人気歌手で「国民歌手」と称されたフィソンが43歳で亡くなった。10日午後、ソウル市広津区の自宅で遺体となって発見された。消防当局は遺族からの通報を受け駆けつけたが、死亡から時間が経過していたという。
現地警察は外部侵入や犯罪の痕跡はないとしている。警察はフィソンの死因や日時などを特定するために国立科学捜査研究院に解剖検査を依頼する。
フィソンは1997年、S.E.S.のバックダンサーとして芸能界入り。2002年に1stアルバム「Like a Movie」を発表。その後もヒット曲を生み、ゴールデンディスク本賞を3度受賞。作詞家としても活躍し、ユンナやT-ARA、TWICEらの楽曲を手がけた。
しかし、成功の裏で深刻なうつ病に悩まされていた。2005年に慢性うつ病と診断され、検査では通常の24倍のうつ症状が確認されたという。さらに、慢性鼻炎による不眠症に苦しみ、やがて麻薬性睡眠麻酔薬「プロポフォール」を違法投与。2019年から2020年にかけて複数回使用し、2021年に執行猶予付きの有罪判決を受けた。
2020年には睡眠誘導麻酔薬「エトミデート」を投与し、意識を失った状態で発見されたこともあった。エトミデートは韓国では麻薬指定されていなかったが、先月28日に韓国食品医薬品安全処が新たに麻薬・向精神薬に指定する法改正案を発表した。
フィソンの突然の死に、所属事務所は「遺族や関係者は深い悲しみに包まれている」とコメントを発表。韓国の音楽界に大きな衝撃が広がっている。
(c)MONEYTODAY