
韓国の伝統市場と商店街活性化のために政府が発行する「オンヌリ商品券」。その統合アプリ「デジタルオンヌリ」が運用初日(3月1日)からシステム障害を起こし、その損害規模が100億ウォン(約11億円)を超える可能性があることが判明した。小規模事業者向けの支援を手掛ける小商工人市場振興公団は、アプリ運営を担当する韓国造幣公社に対し、損害賠償請求を検討している。
同公団が発注した事業の提案要請書によると、「事業者の故意または過失によりシステム障害が発生した場合、その時間に応じた損害額を補償しなければならない」と規定されている。また、事業者の故意または過失によって消費者や発注機関に損害が発生した場合、民事・刑事上の責任を負うと明記されている。
中小ベンチャー企業省のキム・ソンソプ次官も先月、「事業管理に問題が生じた場合、ペナルティ(制裁)を総合的に検討すべきだ」と発言しており、政府側も何らかの対応を検討していることがうかがえる。
今回のシステム障害の原因として、事前のテスト期間が不足していたことが指摘されている。本来、データ移管作業は昨年11月までに完了する予定だったが、3カ月遅れたため、十分なテストができなかったとみられる。
2月15日から2週間にわたりオンヌリ商品券の利用が中断されたのは、最終的なデータ移管作業の影響だったという。金融業界関係者は「大規模なシステム運用においては、最低3カ月のテスト期間を確保するのが一般的」と指摘している。
また、今回の事業を受注した韓国造幣公社の技術力の低さも問題視されている。同公団の提案要請書によれば、事業者の選定は技術評価90%、価格評価10%の割合で進められた。
フィンテック専門企業「ビズプレイ」は、技術評価で造幣公社より高い点数を獲得したが、最低投資率(70%)の条件を満たさなかったため、造幣公社が事業を獲得した。
しかし、専門人材が不足していた造幣公社は、昨年12月にハードウェア業者へ外注し、「次世代決済システム」を構築。これについてビズプレイ側は「違法な下請け契約」と主張している。
一方、同公団は「外部専門家や法律事務所と協議した結果、提案要請書や国家契約法に違反する事実はない」とし、造幣公社側も「専門技術者を配置し、適切に運営している」と反論している。
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