2025 年 6月 4日 (水)
ホーム社会韓国・電動キックボード、電動自転車の事故で毎年20人超死亡…安全対策は“棚上げ”状態

韓国・電動キックボード、電動自転車の事故で毎年20人超死亡…安全対策は“棚上げ”状態

ソウル市内を走行中の電動キックボード(c)news1

韓国で電動キックボードや電動自転車といった「パーソナルモビリティ(PM)」による事故で毎年20人以上が死亡しているにもかかわらず、安全対策に関する法律整備は遅れている。特に、国土交通省や警察庁、関連業界がPMに関する方向性で合意できなければ、安全関連法案の成立は難しいという指摘が出ている。

韓国道路交通公団の交通事故分析システム(TASS)によると、過去3年間にPM事故で死亡した人数は2022年に26人、2023年に24人、2024年に23人と、わずかながら減少傾向にあるものの、依然として毎年20人を超えている。

2024年のPM事故件数は2232件で、そのうち死亡事故は23件、死亡率は1.03%に達した。一方で、同年の乗用車事故件数は13万774件、死亡者数は1202人で、死亡率は0.9%だった。PM事故のほうが乗用車事故より死亡率が高いということになる。

このような状況を踏まえ、国会では複数のPM安全法案が提出されたが、ほとんどが委員会段階で止まっている。これは、関係官庁と業界の間で合意が取れていないことが主な原因だ。

提出された主な法案には、PMの定義、利用施設とレンタル事業の管理、レンタル業の登録制、駐車および禁止区域の指定、安全基準の強化、利用者および事業者の義務明確化、運転免許基準の強化、ヘルメット着用の義務化などが含まれている。

これらの法案は安全性確保のために利用者や事業者への規制を強化するものだが、新産業の成長を妨げかねないとの懸念もあり、調整と合意が求められている。

漢陽大学都市工学科のコ・ジュノ教授は「安全を確保する規制とともに、産業を活性化させる施策も同時に進めるべきだ。まずはPM専用区域の指定など、基本的なインフラ整備が重要だ。過去に自転車専用道を整備したことで自転車利用が活性化されたように、PMも専用道路を整備することで安全かつ効率的な利用が促進される」と述べ、自動運転車が現在、指定された区域で運行されていることにも触れた。

また、ソウル市が弘大(ホンデ)周辺や盤浦(バンポ)の学園街でPM通行禁止区域を設けたことについて、コ・ジュノ教授は「歩行者の多いエリアでは保護のための規制が必要だ」としつつも、「安全上の問題が比較的小さい地域では、PM専用道路の指定など活性化策も検討すべきだ」と語った。

(c)news1

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