韓国で、看護師国家試験を控える看護大学生たちの間に就職難への不安が広がっている。首都圏のある看護大学4年生は「試験に合格しても、面接に行くべき病院がない」と嘆く。状況は昨年からさらに悪化している。
昨年から医師不足の影響で手術件数や入院数が激減し、多くの大学病院が緊縮経営体制に入った。これにより、看護師採用も縮小され、就職希望者は厳しい競争に直面している。
韓国保健医療国家試験院によると、2025年卒業予定の看護大学生らは1月24日に国家試験を受けた。合格者は2月の面接後、大学病院への就職が予定されている。しかし、看護師や学生らのオンラインコミュニティでは「就職先がない」との投稿が相次ぎ、深刻な状況が浮き彫りとなっている。
2022年の看護大学卒業生は「大手病院では書類選考の基準が厳しくなり、TOEICスコア925点以上でないと面接のチャンスすら得られない」と語る。一方、ある地方の看護大学生は「卒業後は応募できる病院がさらに減る」として、今年は休学して他の分野でインターンを経験するという。
保健福祉省と韓国看護大学学長協議会が調査したところ、2025年卒業予定の看護大学生の就職率は34%と、前年の79.1%から半減した。
すでに大学病院への就職が決まった看護師らも、発令待機期間の長期化に苦しんでいる。例えば、ソウルのアサン病院では「採用後、最大2年の発令待機期間があり、さらに1年延長の可能性がある」と通知されている。2023年には採用されたものの待機中の看護師が63%に達しており、待機期間中の給与支給がないため、多くの看護師がアルバイトに頼っている。
一部の看護師は「出勤の連絡が突然来るため、正規職の仕事を探すのも難しい」と訴える。また「病院周辺で家を借りたが、出勤の見通しが立たず、経済的な負担に耐えきれずに実家に戻る人もいる」といった声もある。
看護業界は、年1~2回の一括採用方式を改め、常時採用にすべきだと指摘している。韓国看護協会関係者は「看護師不足は勤務環境の悪化につながり、患者や国民の安全にも悪影響を及ぼす」と警鐘を鳴らす。
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