韓国で、災害状況を迅速に知らせる目的の「災害メール」が、過剰な発信によってかえって疲労感を与えている――こんな指摘が相次ぐなか、韓国政府は同じ内容のメールの重複発信を減らす方針を打ち出した。
行政安全省は2日、「災害メール送信基準および運営規則」を改正し、2024年末までに施行すると発表した。
この改正案には、同じ内容の災害メールを中央政府、広域自治体、基礎自治体が繰り返し送信することを防ぐ措置が盛り込まれる。
行政安全省の関係者は「必要な災害メールが中途半端な重複送信によって軽視されるケースもあるため、これを抑制するのが今回の改正の目的だ」と説明した。
背景には、2019年に災害メールの送信権限が中央政府から広域自治体や基礎自治体にまで拡大されたことがある。この措置により、同じ内容の災害メールが複数の機関から重複して送られる事態が頻発していた。
たとえば、11月28日にソウルで大雪が降った際には、「道路の凍結が懸念される」「公共交通機関の利用を呼びかける」といった内容のメールが、国土交通省、行政安全省、ソウル市庁、韓国道路公社などから、わずか30分間の間に重複して送られた。さらに、一部のソウル市内の区も同様のメールを送信し、午前6時から8時の間に最低5件、多い場合には10件もの災害メールが配信された。
この問題は、今年の国政監査(韓国の国会で実施される政府監査)でも取り上げられ、行政安全省は本格的な対応に乗り出した。
改正案には、行政安全省が気象警報や一般的な行動指針を発信し、それをもとに自治体がより具体的な内容を付け加えた災害メールを発信するよう求める規定が含まれる。
また、災害メール送信システムも改善される。たとえば、災害情報担当者がすでに行政安全省から送信された内容と類似するメールを送信しようとすると、「重複」を警告する通知を表示する仕組みが導入される。
さらに、災害メール担当者に対する教育も強化する。教育内容には、災害メールの送信基準や重複発信の抑制方法が盛り込まれる。
行政安全省の関係者は「自治体が地域住民にとってより詳細な安全案内を提供できるようにしつつ、中央政府と同様の内容を送る場合は慎重に検討するよう誘導する」と述べた。
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