
韓国仁川市江華郡にある犬の繁殖施設で、100匹を超える犬がブルセラ症(Brucellosis)に集団感染した。ブルセラ症は人にも感染する人獣共通感染症であり、全国的な拡散が懸念されている。
農林畜産食品省によると、8月4日、この施設で虐待を受けていた犬を動物保護団体が救出した際にブルセラ症が検出され、当局が防疫措置を施した。その後、同じ施設で飼育されていた犬260匹を精密検査した結果、105匹が感染していることが確認され、現在隔離・治療中だ。
動物保護団体によれば、この繁殖場は悪臭がひどく、ダニが繁殖するなど不衛生な環境にあり、犬同士の繰り返しの交配を通じて感染が拡大したとみられる。
ブルセラ症は「ブルセラ・カニス(Brucella canis)」という細菌による感染症で、交配のほか流産時の羊水や胎盤、汚染された水や餌を介しても広がる。皮膚の傷や母犬の初乳を通じても感染することがある。
犬が感染すると流産や不妊などを引き起こすが、無症状の場合もあるため、疑いがあれば動物病院での検査が必要だ。感染が確認されれば隔離し、抗生物質による治療や不妊手術が施される。飼い主の同意の下で安楽死処置が取られる場合もある。治療には長期間を要し、治らなければ長く病原菌を保持し続ける危険性がある。
ブルセラ症は人間にも感染し、風邪に似た症状を引き起こす。
これまで韓国では年間1~4件の発生報告にとどまっていたが、今回のような大規模集団感染が確認されたのは初めて。すでに感染犬が全国のペットショップに流通した可能性もあり、さらなる拡大が懸念される。
(c)MONEYTODAY