
韓国で、精神病院に入院した患者のうち、12.7%が隔離措置を、6.9%が拘束(強制的な身体拘束)措置を経験していたことがわかった。病院ごとの実施件数には大きな差があり、一部の病院では極端に高い割合で実施されていた。
韓国保健福祉省は2月27日、国内の精神医療機関399カ所のうち、保護室がない10カ所と国立法務病院を除いた388カ所について、2024年1月から6月に実施された実態調査の結果を発表した。調査は、各病院が作成した報告書をもとに、管轄の市・郡・区の保健所が現場を訪問し、実態を確認する方式で実施した。
調査対象の388の医療機関の病床数は合計6万7477床(平均173.9床)、保護室の数は2198室(平均5.7室)だった。この期間に入院した患者は延べ18万3520人で、このうち2万3389人(12.7%)が隔離措置を、1万2735人(6.9%)が少なくとも1回以上の拘束措置を受けた。
医療機関1カ所あたり、6カ月間の平均隔離患者数は60.7人、拘束患者数は32.8人だった。しかし、病院ごとの違いが大きく、隔離患者が1人もいない病院がある一方で、861人に達した病院もあった。また、拘束を受けた患者数も病院ごとに0人から943人まで幅があった。
この期間、隔離された患者1人あたりの平均隔離時間は23時間28分、拘束時間は5時間18分だった。
韓国の「隔離および拘束ガイドライン」によると、成人患者の隔離は1回最大12時間、連続で最大24時間までが推奨されており、拘束は1回最大4時間、連続で最大8時間までとされている。それ以上の隔離・拘束が必要な場合は、精神科専門医の対面評価を受けたうえで追加延長が認められる。
ただ、今回の調査では、24時間を超える隔離が1482件(全体の1.9%)、8時間を超える拘束が130件(全体の0.4%)確認された。
調査対象の保護室の平均面積は9.2㎡で、93.2%の保護室に観察窓が、84.5%にCCTV(監視カメラ)が設置されていた。
また、酸素飽和度測定器を備えている保護室は82%、バイタルサインモニター(生命維持装置)を備えている保護室は40.7%にとどまった。
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