2025 年 10月 8日 (水)
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韓国・秋夕後「マトリョーシカ化」する贈り物“過剰包装”…名節の心遣いが環境破壊に

秋夕連休を前にした10月2日、ソウル市陽川区のマンション敷地に、贈答品などの過剰包装ごみが大量に積まれている(c)NEWSIS

韓国で秋夕を終えれば、各地のマンションやアパートで贈答品の包装ごみ処理に追われる風景が見られるようになる。人々の温かい気持ちが込められた贈り物が、“環境ストレス”の要因となる。

「普段の2倍はごみが出ました。段ボールが山のように積まれて、片付けるのに一日中かかりました」。ソウル市鍾路区のマンション管理事務所で働くパクさんは、名節後の“ごみとの戦い”をこう語った。

住民の間でも苦情が絶えない。ソウル市城北区に住む会社員のチェ・ギョンジンさん(30)は「名節の贈り物はロシアのマトリョーシカ人形みたい。箱の中に箱があり、さらにその中に別の包装がある」と嘆いた。

ソウル市瑞草区の住民、クォン・ギョンミンさん(31)も「贈り物自体はうれしいけど、処理をしていると複雑な気分になる。企業は派手な包装デザインの競争ばかりで、環境への配慮は後回しになっているようだ」と話した。

韓国では政府の「製品包装基準」により、食品などの過剰包装は禁止されており、包装回数は2回以内と定められている。しかし、個別包装やセット商品の場合は「例外規定」が多く、取り締まりは容易ではない。

キム・ウィサン議員(国民の力)が気候エネルギー環境省から提出を受けた資料によると、2020~2024年の5年間で「包装回数超過」によって摘発された件数はわずか17件に過ぎなかった。自治体ごとに点検権限が分散していることも、取り締まりが進まない一因とみられている。

環境団体「ソウル環境運動連合」のパク・ジョンウム資源循環チーム長は「現行制度には抜け穴が多く、3個以上の再包装も可能という例外条項が過剰包装を助長している」と指摘。「包装の空間比率の基準もあいまいで、どこまでが『過剰包装』なのか明確ではない」と批判した。

忠南大学のチャン・ヨンチョル教授(環境工学)は「韓国は紙よりもプラスチック包装が多く、リサイクル率が低い。結果として80〜90%が焼却処理され、炭素排出量を増やしている」と分析した。

専門家は「自治体の取り締まりだけでは限界がある」として、制度の強化と消費者意識の変化が不可欠だと強調する。チャン教授は「どれだけ一生懸命分別しても、大半の包装材は最終的に焼却されてしまう。過剰包装は気候危機を悪化させる“見えない原因”であることを、社会全体が認識すべきだ」と警鐘を鳴らした。

(c)NEWSIS

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