チャンネル登録者120万人を有する韓国のユーチューバー「肉食マン」が発信する現代(ヒョンデ)自動車の看板電気車種「アイオニック5」。見慣れないが、電気自動車(EV)の「V2L」(Vehicle to Load)機能を強調する――とする現代自動車のマーケティング戦略だ。
最近のキャンプ、特に「車中泊」が人気を集め、EVバッテリーの電力を利用して外部で使用できる「V2L」機能の高い活用性をセールスポイントとしたのだ。
4日にアップされた「鍋蓋スモークサムギョプサル」料理の動画には、現代自動車の「アイオニック5」の広告が含まれていた。
一般的なユーチューブの自動車広告は、有名芸能人やユーチューバーが自動車の内部や外部を詳しく紹介したり、走行したりしながら性能をレビューするのが定番だ。
だが、現代自動車は料理の映像を通じてEVのV2L機能を強調した。
11分ほどの映像は、電気設備のないキャンプ場でアイオニック5のV2L機能でマルチタップを接続し、電気ポットで湯を沸かし、インダクションレンジに鍋を乗せて肉を調理する内容だ。ユーチューバーがキャンプ場までアイオニック5を運転し、加速性能、静粛性を短く言及しているが「どこでもアイオニック5さえあれば料理できる」という事実に焦点を当てている。
アイオニック5のバッテリーを利用して長時間料理してもバッテリー容量を心配する必要はないようだ。充電完了の状態で出発し、バッテリー91%でキャンプ場に到着したアイオニック5は、V2Lで約3時間、インダクションレンジを使ってもバッテリー残量は86%だった。
現代自動車のこうした広告は、車中泊を含めたキャンプが一般的な余暇活動として定着した状況で、EVのV2L機能が消費者に核心的なメリットとしてアピールすることができると判断したためだ。
現代自動車の関係者は「V2Lで野外活動中に家電製品、電子機器を使え、室内V2Lを活用して車内でノートパソコンを充電するなど、日常や余暇生活がより便利になる。今回のコンテンツは野外で料理する姿を見せ、V2Lの活用性を直観的にアピールするために企画された」という。
動画には「キャンプや釣りをする人にV2Lが有用だ」「外で電気を自由に使うのがよさそうだ」などのコメントがついた。
◇駐車場や野原でも車中泊
キャンプの人気が高まり、V2Lの実用性はさらに注目されている。
韓国観光協会中央会によると、昨年末、全国のキャンプ場は前年末より467カ所増え、3747カ所(一般のキャンプ場2999カ所、オートキャンプ場748カ所)になっていた。過去最多だった。
全国のキャンプ場は▽2019年末2367カ所▽2020年末2534カ所▽2021年末2873カ所▽2022年末3280カ所――と毎年増えている。
韓国観光公社の「2022年キャンプ利用者実態調査」の結果、2022年キャンプ推定人口は583万人で2021年(523万人)より11.6%増加した。キャンプ人口のうち、車中泊(複数回答)を選択した割合は41.6%で、車中泊人口は243万人あまりと推定される。車中泊はキャンプ場ではなく駐車場や野原のような場所でも可能で、V2L機能の活用度が高い。
米国は韓国よりキャンプが活性化されたため、最大コミュニティ「レディット(reddit)」のアイオニック5掲示板では写真とともにアップされた車中泊の口コミを簡単に見ることができる。米国では先月、アイオニック5が月間最大販売台数(4449台)を記録するなど、高い人気を博している。
今年第4四半期に米国のEV専用工場「現代自動車グループメタプラント・米国(HMGMA)」が完成し、量産を開始すれば、米国政府から補助金を受けて価格競争力が高まるため、販売台数も増えることが期待される。
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